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2017年9月22日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

「選ぶのが難しい」

各ブースで行われる面談

 課題の解決に役に立ってもらえそうな新現役を見つけたいと交流会に参加した中小企業。業種はモノつくり関連から、食品、建設、ホテル、介護などあらゆる分野にまたがっている。共通しているのは、ハローワークやネット広告を通じて求人活動をしているが、思うような人材を見つけることができないという深刻な悩みを抱えていることだ。中には経営者の高齢化で事業継承が難しくなっている会社もあり、それだけに外部からのサポートが是非とも必要になっている。

 保育園、介護施設を運営しているヒューマンサポート(東京都足立区)の廣島清次社長は、交流会は初めての出席で、取引のある信用組合の誘いで参加したという。廣島社長は「私も高齢なのでマネジメントを見てくれる人を探している。合計8人も応募があり、皆さんそれぞれ経験をお持ちで、この交流会では貴重な体験をさせてもらって有り難い。最終的にどなたにお願いするか、絞り込むのが難しい」と頭を抱えていた。

 葛飾区でシャープペンシルや万年筆の製造などをしている岩崎金属工業は8人ほどの応募があった。「わが社は筆記具を製造している中小企業だが、博士号の資格を持った人が来られた」と面接した担当者が驚いていた。また美容院を経営している中小企業は、「美容師を集めるのが難しいので、何とかできないかと思って交流会に参加してみた」とわらをもつかむ思いの求人活動だ。

全国展開を期待

 大手企業を退職するシニアは毎年60万人もいるが、ハローワークやシルバー人材センターでは自分の過去の経験を生かしたような仕事はみつけられないのが実態。これまで都内や関西、九州などで開催した交流会では、これまでに、約2700社の企業が参加、1400人が仕事を見つけることができている。今回もこの交流会により、多くの中小企業が欲しい人材を獲得できるチャンスになり、シニアは自分の能力を活用できる仕事を見つけることができる可能性がある。

 地域にある信用組合や信用金庫など地元の金融機関を仲介した交流会の仕組みを作りだした新現役交流会サポート(SKS https://sks.or.jp/)の保田邦雄代表は「交流会という仕組みを全国に広げ、活用されずに眠っているシニア層という人材の『無尽蔵の埋蔵資源』を、圧倒的に人材と人手不足の中小企業に使いたい。そのためには退職しても仕事をしたい意欲のある新現役の登録者数を増やさなければならず、中小企業庁にそのための全国規模のデータベース登録窓口の再開を早急におこなってほしい」と話し、中小企業庁などの尽力により交流会が全国に広がることを期待している。

  
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