想いを同じくする「同志」にも暖かく
昨年大手IT企業を退職して起業をした、秋元里奈さん。現在 ビビッドガーデンにて、「食べチョク」という朝取り野菜を自宅で、という事業を行っています。その秋元さん、起業にあたって、小野さんに教えを請うために京都に行ったそうで、小野さんについて伺いました。
Q:坂ノ途中さんについて
創業から理念をぶらすことなく、持続可能な農業に貢献されているところが素敵です。新規就農者の販路を作るというミッションから始められた野菜宅配事業もそうですが、海外のコーヒー事業、また農水と連携したtoB事業など、多岐に渡る事業を展開されていて素晴らしいなと思っています。
Q:小野さんについて
経歴(京都大学→外資系金融マン)からも分かる通り、非常に頭が切れる方で、指摘は的確。とにかく頭の回転が速いです。最初は近寄りがたい印象を持っていましたが、実際にお話すると性格はとてもマイルドで、優しいです! 農家さん訪問などもご一緒させていただいたりと、多方面でお世話になっています。
Q:坂ノ途中さんとのエピソード
創業間もなくのタイミングで、お邪魔させていただいたことがあります。その時はまだ事業モデルも明確に定まっていなく、今思うと非常にふわふわした事業計画をお見せしたのですが、多角的なアドバイスを頂きました。そして「もっと業界を知るべき!」と、急遽その後の打ち合わせに同席させて頂いたりと、本当に親身に相談に乗ってくれました。坂ノ途中さんは、小野さんを始め、社員の皆さま全員が非常にアットホームで、居心地の良い会社さんです!
と秋元さんは話します。
小野さんの子供の頃から起業まで(環境負荷かけたくない、を小さな頃から)
小野さんは小さい頃、「ほかの生き物に迷惑をかけずに生きられないことに戸惑っていた」と話します。たとえば、虫や草を踏んでしまうことをおそれ、「もう外にでない」と宣言したこともあるそう。ご実家は、世界遺産法隆寺がある、奈良県斑鳩町。京都大学総合人間学部に進学して、文化人類学を専攻していました。何もやりたいことがなく、「基本的に時間をドブに捨てていました」という学生時代を過ごしていましたが、友人たちと着物屋を運営した経験から、自分の価値観やメッセージを発信する手段としてのビジネスの力強さにひかれたそう。
その後、休学して上海からイスタンブールまで陸路で旅行した経験から、自分が本当にやりたいのは、人と自然との関係性を問い直すことなのだと見出し、近い将来に、人と自然との結び目である農業分野での起業を決意。2年と少しのあいだ、フランス系金融機関で修業したのちに、京都に戻って起業しました。
今後について
今、そして、これからの会社の課題について、やるべきことは無数にありますと小野さんは語ります。たとえば社内では、小野さんの人格と、坂ノ途中の人格をどう離してくかが今の課題だそう。
「僕が何か言っても『小野さん、それは坂ノ途中っぽくないですよ』といわれるようになりたいですね」
今までの事業展開では、一般的には頼りない存在だと思われがちな新規就農者が、連携の仕方によっては強力なパートナーとなり得ることを証明してきたと言えると思います。これからは既存事業の伸長にくわえ、就農のハードルを下げていくような情報のプラットフォームをつくっていきたい。その第1歩として、「次代の農と食をつくる会」というコンソーシアムをつくり、農水省の補助を活用しつつfarmO(ファーモ)というウェブサービスを構築中です。
100年先も農業を続けていけるように、これからの小野さんの動きに注目したいと思いました。
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