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2010年11月8日

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渡邊頼純 (わたなべ・よりずみ)

慶應義塾大学総合政策学部教授

上智大学文学部哲学科卒業、同大学院国際関係論専攻博士課程修了、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部、GATT事務局、外務省経済局参事官などを経て現職。

渡邊教授:先ほども少し出ましたが、やはり農地の集約化・農家の大規模化です。現行の民主党の戸別所得補償制度ではそれが進みませんので、もっと選別的に補助金を出さねばなりません。農業政策には、産業政策と社会政策の2つの視点が必要です。前者は、農業を産業として位置付け、戦略的に投資をし、消費者の嗜好を考慮して作物を作っていき、大規模化・効率化を追求していく、ということです。後者は、零細農家や兼業農家などに土地を放出していただき、それを専業農家に譲渡するなり貸すなりして、大規模化を進める。同時に土地を手放した彼らの老後の保障などはもちろん必要なので、そこは生産とは切り離して(デカップリング)行う必要があります。

 かつては手厚い農業保護が行われていたEUでも、そのようなやり方で、1992年以降「強い農業」へと変わってきました。同じくオーストラリア・ニュージーランドでも、イギリスという特恵的なマーケットが、1973年の(イギリスの)EC加盟によって失われることになり、これをきっかけとして、それまでの保護主義的な農業を見直し、効率的な農業を模索してきました。その結果、今日高い競争力を誇っています。日本も、TPP参加をきっかけに、国民的議論を深め、戦略的な「強い農業」を目指していくべきです。
 

*関連記事:
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