したたか者の流儀

2018年2月3日

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 熊野古道や、伊勢神宮、京都の町並みは我らが作り出したものだ。我らの美意識のなかで育まれた結晶であろう。そんな日本のよいものを、わざわざ外国のタイヤ会社に折り紙をつけてもらい、外国人ではなく日本人がありがたがっているのは、いかにも悲しいがいかがであろうかと考えていた。

 昨今、日本を訪れる外国人観光客は、自らの言語で、日本の素晴らしい自然や美味しいもので、いわゆるリーズナブルなものの情報集積や情報交換がなされ、来日後、直ちにそのスポットに直行しているようだ。

 外国人が、どういうわけか過疎地のバスに乗って、同じ場所に向うのに遭遇する機会が増えてきた。数年すると、日本の旅行雑誌が、さもお値打ち情報だという特集をしたりしている。

 我らは、自らの手でよいものを探すことが出来なくなったのか、出来たとしても自信がないので、外国人から認定してもらいたいのかよくわからないことになっている。

 金融の世界でも、政府や企業は一民間会社にすぎないMoody’sやS&Pの格付けに一喜一憂しているのも悲しいかかぎりだが、その観光版ということ。

日本で一番よかった温泉は「宝川温泉」

 左様に思っていた矢先に、屋久島の海中温泉から、知床のヒグマ温泉まで全て知っているつもりでいたところ、韓国人の友人から「宝川温泉」の名前が出た。今のところ、日本で一番よかった温泉は「宝川温泉」だそうだ。彼は、韓国人の仲間では温泉博士と呼ばれているが、当方、日本人温泉通としては東京から近い割には、落としていた場所だった。

 というわけで、アンドレ・マルローと韓国人の選球眼は侮れないということ。自分らの知らない日本の美点を発見して追認するのも悪くないのではないかと思うが、いかがであろう。

  
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