2024年4月27日(土)

東京家族風景

2018年2月27日

M子さん:私は Easy going?運まかせ?のような性格なので、最初はやや抵抗感がありました。(笑)

 でも、数年間の間に子どもたちがそれぞれ、個々のペースで自分の成長を喜べる子になっていっている様子が伺え、今は感謝と尊敬でいっぱいです。

 どんな子のモチベーションもあげられるとは言えませんが、彼には、子どもたちそれぞれの言動の裏の裏まで捉えようとする観察眼があると思います。

 例えば、

 彼の二男Eは、パートナーのコーチングにより、夢へと着実に歩みを進めています。

(iStock/ampak)

 そのステップは以下のようになります。

・6歳の時にサッカー選手になって、FCバルセロナに入団し、バロンドールを取ると宣言。

・6歳ともなると、既にサッカーチームに所属してたり、スクールに通っている子も多くいる。しかし、当時シングルファーザーで仕事と家事に追われていたため、Eをサッカースクールに通わせることが難しかった。

・M子さんと出会い、M子さんの長男Aとサッカーをして遊ぶようになる。

・クラブチームのサッカースクールへ入会することを見据え、自主トレーニングを開始。Eの練習にサッカー経験のないパパも付き合い、「一緒に上手くなろう」とEに伝える。「こういうメニューがあるから、やれ!」より「一緒に上手くなろう」という方が、小さい子どものモチベーションを維持させてあげられる。

・同学年の選手に対し、劣等感を持たないレベルまでになったところで、最初の目標としていたサッカースクールへ入会。

・半年ほど経ち、Eの上達が見えたので、Eに合ったレベルの別のスクールに変えた。大切にしているのは、過小評価も過大評価もせず、子どもの現在位置を見誤らないこと。これはサッカーだけでなく、子育てのあらゆるシーンで重視している。

・スクールでコーチや上手い子を見て学ぶだけでは、小さい子どもには難しく、親が出来ていること、出来ていないことをよく観察し、足りない要素を自主練で強化していった。だからといって、全部を一気に習得できるわけではない。この点でも子どもそれぞれの現在位置の見極めが必要。例えば、インサイドキックも満足に蹴れない子に、いきなり華麗なパスサッカーを教えようとしても出来るわけがない。

・Eのサッカースキルが向上してきて、欧州のサッカーメソッドを取り入れているスクールに通うようになる。結果、2年足らずでチーム移籍は1回、その間スクールは3回変更した。

・8歳の夏、海外遠征の日本選抜に選ばれ、ドバイ、スペインへの切符を獲得。学校の勉強の他に、英語、スペイン語も学習中。

 Eが夢を語りだした当時、まだチビっ子だったので、夢を実現するための正しい道筋は当然わかっていません。だから、自分の力で飛び立つ日が来るまで、パートナーは、Eを夢への正しい滑走路へ案内し続けています。

 Eは、パートナーのコーチングにより、一定の成果を上げつつありますが、小さな努力を重ねる日々はもう少し続くでしょう。そして、Eが夢という空に向かって飛び立つことができれば、もう親は離れて見守るだけで十分です。

田永:夢・目標を、到達可能なステップに分けた上で、必要な環境を整えて、共に追いかけていく。コーチングとメンタリングのお手本のような話で凄すぎます。巨人の星ならぬバルサの星ですね。スポ根の星一徹とは全く違う、今どきのコーチング型教育法に目からうろこです。

 子どもの時から努力し自己実現する成功体験を持つことで、今後、スポーツのみならず学業、仕事にも結果にこだわりながら、積極的に行動できるお子さんに育つのでしょうね。

 私は、割としっかりした幼稚園と保育園に預けられたので、一安心かなとすっかり油断していました。周りと話していても、保活や学童など箱ものにどう入れるかまでが話題に上がりますが、このお話を聞いてから、父としての教育や子どもの心の在りように関心を持つようになりました。以前から子どもと一緒に朝風呂に入るのが日課なのですが、最近は、子供に昨日は何をしたかを聞き、子どもの気づきや気持ちをしっかりキャッチできるよう心掛けるようになりました。いつか夢ややりたい事を語り出す日が来た時に、正しく滑走路に案内できるよう、子どもの現在地と変化を正しく捉えられるよう習慣づけたいと思っています。
 

◆◆◆◆◆

 M子さん、今日は貴重なお話をありがとうございました。

 今後のビッグステップファミリーの楽しい日々とお子様たちの健やかな成長、そして、ご活躍をお祈りしています。

<巻末付録>
元シングルママのウィッシュリスト(私は比較的、先進的で理解のある職場で働けているから何とかやっていけていますが、もっと普及すれば良いなということも含めて)

1. 在宅ワークなど柔軟な働き方を認めてくれる職場(小さい子どもは信じられないくらい病気するし、兄妹間で感染する!)

2. スカイプミーティングの普及と理解(海外にいると思ってもらえればスカイプ出席は無礼ではないはず。)

3. スポーツや音楽、塾など、子どもの教育活動に対する社会の投資(レッスン費用や月謝が高く、家庭への負担が大きい。経済的に豊かでない限り、継続が難しい場合も。)

4. (将来的なことですが)Eが海外のクラブチームに入ることになった場合、法律的には他人ですが、みんなで一緒に渡航できるといいな!


  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る