2024年12月23日(月)

東京家族風景

2018年2月27日

 マーケティングの有名な格言として「ドリルを買おうとしている人は、ドリルが欲しいのではなく、穴を開けたいのだ」というものがあります。

 手段や形ではなく、相手の本当のニーズが何か、それはなぜかを意識することの重要性を説いています。

 家族関係に消費者・生産者の理論がそのままあてはまる訳ではないとしても、パートナーのニーズ、子育てで求めていること、その理由を理解するのは、家族関係を考える上で大事だと思います。

 最近、ステップファミリーのM子さんと話をしている時に、互いのニーズと役割をとても上手に擦り合わせてるなと感じました。結婚という手段から離れ、よりニュートラルな立ち位置でパートナーとお互いのお子さんと向き合い、家族を形作っているからかも知れません。そんなM子さんからステップファミリーとして暮らすことについてお話を伺いました。

※ステップファミリーとはどちらかに子どもがいて再婚して、新たに築かれる家族のこと。広義で法的な再婚に限らず、事実婚を含めて使われている。(Wikipediaをもとに筆者追記)

M子さんとN雄さんの例
・M子さん(年齢 35歳)、長男A、長女B、二女C
・パートナーN雄さん(年齢 43歳)、長男D、次男E
(*画像はイメージです。iStock/3sbworld)

「無理に一つの家族になろうとせず、
二つの家族がうまく暮らしていける道を模索すればいい」

田永:今のパートナーさんに出会うまでの簡単な経緯を教えてください。

M子さん:離婚が成立し、娘を幼稚園から保育園へ転園することが認められました。

 パートナーはすでにその保育園にお子さんを預けていたので、彼が送り迎えしている時に挨拶する程度でした。

 ある時、保育園の参観日のグループが一緒になり、その後、複数人でお昼を食べに行きました。この同じグループになった方が偶然にも全員シングルペアレントだったので、苦労や心配事などに共感し合い、励まし合ってその日は解散しました。

 その後、メールのやり取りをしたり、保育園帰りに立ち話したり、いつも子どもたちのことが話題。

 それから、ピザ作りをみんなでしたり、博物館やピクニックに出かけたり、子どもたちを連れて総勢7名のグループ交際がスタートしました(笑)。

田永:境遇が似ているということで、同じような悩みを共有できたり、遠慮せずに考え方を聞いたりできたのではないでしょうか。正直、自分だったら、どこまで状況や困りごとについて聞いていいか分からないところがあります。

 日本ではまだまだ馴染みの薄いステップファミリーについて、今回、記事を書くことで、その考え方をお伝えできたらと思っています。

 それにしても、グループ交際、懐かしい響きですね(笑)。

 結婚という枠組みを出て、お互いお子さんを連れてパートナーを持つ心境はどのようなものでしょうか。

 また、お互いに求めていることや助かっていることは何でしょうか。

M子さん:私も彼も、籍を入れたいという願望は最初からありませんでした。

 お互いにそれが何の約束にもならないことを過去の失敗から学んでいましたから。

 それよりも、安易に籍を入れることで、子どもたちに降りかかる困難をより増やす心配の方が大きくあります。

 私は、アメリカでの生活経験もあり、友人にも様々なマイノリティの方がいますので、シングルペアレントであることや、パートナーと一緒にいることは、隠す必要がないと当初は言っていました。


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