新たな相関図
ホワイトハウスの混乱は大統領との距離感や高官同士の人間関係をも変容させている。大統領が更迭したい筆頭はセッションズ司法長官と、モラー特別検察官を任命したローゼンスタイン司法副長官だ。トランプ氏の“セッションズいじめ”は激しさを増しており、長官にアニメのドジなキャラクターのあだ名を付けて侮辱。ロシアゲート捜査に関わらないとした長官の決断を「原罪」とまで呼んで非難している。
大統領のマクマスター補佐官に対する嫌気も高まっている。トランプ氏は補佐官の「長饒舌で、硬直した考え」(米紙)に不満を募らせているといわれる。特に、補佐官が2月のミュンヘン安保会議で「米大統領選挙にロシアが介入したのは論議の余地がない」と言明したことにカチンときた。大統領はロシアのおかげで勝ったと言われたかのように受け止めたからだ。
NBCは補佐官を4月にも更迭と報じ、後任に自動車大手の役員で、管理能力に定評のあるスティーブン・ビーガン氏の名前も取りざたされている。マクマスター補佐官とマティス国防長官との関係も冷却化している。これは大将である長官が中将である補佐官を格下に扱う素振りを見せるからだ、という。
ケリー首席補佐官とクシュナー、イバンカ夫妻の関係はもはや最悪だ。ケリー氏がこのほど、機密情報へのアクセス権の見直しを行ったが、その際、クシュナー氏から最高機密へのアクセス権をはく奪したことで関係が決定的に悪化した。大統領の長男ジュニア、次男エリック両氏もケリー氏がクシュナー氏を擁護しなかったとして反発、大統領の家族とケリー氏との対立に発展している。
しかし、この他、ケリー氏と大統領、またティラーソン国務長官と大統領との関係も必ずしも良好とは言えず、トランプ政権の政策と人事の混乱は容易に収まりそうにない。中間選挙を控え、まだまだ一波乱も二波乱もありそうだ。
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