そう語るのは、創喜の5代目社長の耕平さん。石井さんとは同世代。若い感性でメイドイン広陵町のソックスを世界に広めていきたいという思いに共感して、細かい注文にも応えてくれる頼もしい若き靴下職人だ。
工場を見学させてもらうと、「ロッソ」という作業は、なんと地元のお母さんたちが一足一足丁寧に手でつま先を縫って仕上げている。出来たばかりのロトトのソックスを見せてもらう。これです、これこれ。太畝(ふとうね)のリブのローゲージソックスって英国製ではよくあるけども、日本製はなかなかなかったんですよ。
次に石井さんが案内してくれたのは、広陵町で長くスポーツソックスの製造を手掛けている「ウエダ」の工場。こちらはコンピュータ化した最新式の靴下編機が倉庫のような広い工場にズラリと並んでいて、カシャカシャと自動で靴下を次々と編んでいる。
「いやぁ、初めて石井さんが靴下を作ってほしいと当社に訪ねてきた時は驚きましたよ。だってうちは野球用やバスケット用などスポーツソックスを作っている会社ですからね」
そう言って工場を案内してくれたのは部長の浦岡良美さん。しかし浦岡さんもまた石井さんの「スポーツソックス用の編機でお洒落なカジュアルソックスを作れないか」という発想に共感して社長に提案、最初は面白がって作ってみたのだが、今や主力製品である。
それもこれも、石井さんが職人さんたちとの話し合いを一番大切にしているからこそ、できるのであろう。だからロトトのソックスの製品タグには「日本製(奈良県産)」と、わざわざ産地名まで記入されているのだ。
あ、そうだそうだ、石井さん、ブランド名のロトトの意味って何ですか?
「漢字の〝足〟を分解して、カタカナにしてロとトとトです(笑)」
(写真・阿部吉泰)
●株式会社ジャーミネイション
<所在地>大阪市西区南堀江 1-12-4 ARTCUBE 403
☎06-6585-9660
<URL>http://www.rototo.jp/
●株式会社創喜 奈良県北葛城郡広陵町疋相6-5
☎0745-55-1501
●株式会社ウエダ 広陵町笠222-1
☎0745-55-2121
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