2024年12月26日(木)

メイドインニッポン漫遊録 「ひととき」より

2017年8月24日

日本の夏の紳士の帽子、パナマハット

手前から時計回りにパナマハット(62,640円)、ストローハット(41,040円)、婦人用ストローハット(34,560円)

 名探偵ポワロ、吉田茂元首相、磯野波平。

 さて共通点は何でしょう。答えは、麻の背広にパナマハットがお似合いの紳士であります。パナマハットとは、中南米が原産のパナマ草の若葉を細く裂いて乾燥させたものを編んで作った、ブリム(つば)の小さい日よけ帽。元は熱帯や南アメリカに住む英国人が被っていて、1890年頃に他国に広がりブームとなり、日本では昭和三十年代に大流行した。

帽子の型入れに使う木製の帽体。パナマハットやストローハットなど様々な型を用意している

 麻の背広にパナマハットの紳士なんてめっきり見なくなったと思いきや、去年の夏には若い女性から再び人気に火が付いて、パナマハットは大ブームになった。最近ではパナマ草で編んでいない安価なものでも、ブリムの小さい中折れタイプならファッション的に総じてパナマハットと呼んだりしている。

 そんななか、ブームになるずっと以前から海外の高級ブランドに勝るとも劣らない上質なパナマハットをはじめ、良質なストローハットを丁寧に作り続けている帽子メーカーがある。岡山の「石田製帽」という会社だ。

 毎年シーズン前ともなると、高いもので数十万円するにもかかわらず、石田製帽には全国の有名百貨店からパナマハットやストローハットの実演販売のイベント依頼が絶えない。 また、その高い技術を買われて平成22年(2010)には、玩具メーカーのバンダイとコラボレーションして人気漫画「ワンピース」の主人公ルフィが被っている麦わら帽子を忠実に再現して製作。バンダイがネットで限定販売すると即完売して話題となり、フランスのケーブルテレビからも取材が来た。

 そこで日本の夏の紳士の帽子パナマハットを作る石田製帽を訪ねて、ワレワレは岡山県笠岡市を旅して来たのであります。

(写真左)笠岡からは瀬戸内の島々へ向かうフェリーも出ている。その1つ、真鍋島の一景
(写真右)御嶽山〈みたけさん〉は幻虹台(げんこうだい)からの眺望。瀬戸内の海に島影が浮かぶ

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