2023年2月7日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年5月9日

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 カタールの米国にとっての重要性は、上記演説でほとんど語りつくされている。アル・ウデイド空軍基地は、中東最大規模の米軍基地である。米国としては、当然重視すべき国であるが、昨年6月にサウジとUAEが主導してカタールを外交的・経済的に封鎖するに至っている。

 サウジ、UAE側は、カタールを封鎖する理由として、カタールの地域紛争への干渉、ムスリム同胞団への支持、ドーハを拠点とするアルジャジーラが引き起こしているアラブのメディアの革命、などを挙げ、アルジャジーラの閉鎖、イランとの協力の縮小、トルコの軍事基地退去、ムスリム同胞団との関係断絶、などを求めている。サウジとカタールの対立は、サウジの湾岸地域での主導権を認めるか否かをめぐり、長年くすぶり続けていたものである。トランプ大統領によるサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子への個人的な肩入れが、封鎖のような行動を助長する一因となったのではないかと指摘される。こういうことは対イランで何の得にもならず、本来、米国は調停すべき存在である。そこで、軌道修正を図り、仲介しようとしている。今回の一連の会談もその一環である。しかし、うまく行っていないらしい。

 5月には湾岸諸国首脳会議を米国で開催すると発表されていたが、9月に延期となった。米側は、ティラーソン前国務長官の更迭による混乱が予測されたためなどと説明しているが、あまり納得できる説明ではない。解決に向けた糸口がまだ見えてこないことの証左と見るべきであろう。いずれにせよ、カタール封鎖で最も得をするのはイランであろう。4月20日付けフィナンシャル・タイムズ紙は‘The continuing blockade of Qatar makes no sense’(カタール封鎖の継続は無意味)と題する社説を掲載、9月に予定される予定の首脳会談に向けて、レトリックを弱めることから始めて、封鎖の解除に向けて徐々に進んでいくべきである、と指摘している。
 

  
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