中島恵の「中国最新トレンド事情」

2018年5月22日

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中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)、『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか』(プレジデント社)『日本の「中国人」社会』(日本経済新聞出版社)などがある。

無人コンビニは低迷か

 一方、無人コンビニはどうなのだろうか。

 無人コンビニといえば、アリババが17年7月に杭州にオープンした「淘珈琲(タオカフェ)」がさきがけだ。深圳市にも「well go」という無人コンビニのチェーンができている。

 私は上海市内で無人コンビニの在処を探してみた。まず、16年8月にオープンした「繽果盒子(Bingo box)」という移動式コンビニを探してみたが、見つからなかった。上海の友人らによると「一時的に話題になったが、最近はあまり見かけなくなった。万引きなどもあり、無人コンビニは低迷しているようだ」という。無人コンビニを「大きな自動販売機のようなもの」と呼ぶ中国人もいるが、日本の駅の売店の脇に置かれた冷蔵庫のような機械(ミニ無人コンビニ)がオフィスビルなどに設置され始めており、アプリで冷蔵庫のドアを開けて商品を取り出し、決済するとドアが閉まる仕組み。このようなタイプの設置も始まっている。

 上海市の西部にある新興ショッピングエリアに「簡24」という無人コンビニがあることがわかり、そこに向かってみた。

無人コンビニ「簡24」

 建設して間もないショッピングセンターの一角でようやく「簡24」(虹橋天街店)を発見したが、施錠されていて、店内に入ることができなかった。店の外から中をのぞいてみたところ、店内にスタッフ数名の姿が見えた。まだ準備中なのかと思い、30分ほどしてから再び訪れてみたが、中に入ることはできなかった。

 店舗内をのぞいてみると、入店方法を書いた看板が見えた。一部の無人スーパーや無人コンビニと同様、アプリを起動させて入場。商品を選んだら、アプリやウィーチャットペイなどで決済し、退出するという仕組みだ。写真で見てわかる通り、入退場の際は、地下鉄の自動改札のようなゲートを通らなければならない。店内はやや小さめのコンビニくらいの大きさで、中を見る限り、菓子やドリンクなどのほか、生花なども売っている。写真には写っていないが、窓側の隅にはコーヒーを飲めるイートインコーナーもあった。

入退場の際はゲートを通る

 周辺は真新しいショッピングセンターやオフィスビルが立ち並び、その1階にはカフェやレストランが入居している。しかし、「簡24」も含め、まだ、どの店舗もオープンしたばかりで、閑散としているのが印象的だった。周辺にはマンションも少なく、これからこの無人コンビニに、どれほどの顧客がわざわざ来店するのだろうか、という不安が拭えなかった。

 「盒馬鮮生」のように、その場で食材を食べられたり、短時間に配送したりするなどの付加サービスがある無人スーパーは、O2O(オンラインからオフライン)という観点で、今後も注目されるビジネスモデルとなっていくのは間違いないだろう。だが、無人コンビニは立地や需要、品揃えなどの点で、まだその有利性が打ち出せていないのではないか。現場を歩いてみて、そう感じた。

  
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