顔認証での支払いも可能
私は地元に住む友人とともに、中国酒1本と果物1パックをカゴに入れてレジに向かった。といってもレジは、日本のスーパーにも一部導入されているセルフレジのようなコーナーと、スタッフがいるレジの2種類ある。無人スーパーといわれているが、スタッフが全然いないわけではない。
私たちはセルフレジのコーナーで支払いをしてみた。友人が盒馬鮮生のアプリを入れていたので、そのアプリを立ち上げ、QRコードをスキャンすれば、それで支払いOKだ。スタッフがいるレジでも同様のことができる。現金は不要で、アプリだけで支払えるが、顔認証での支払いも導入されており、選択できるようになっていた。顧客にとって、スマホがあれば(あるいは、顔認証の登録をしておけば)簡単に決済できたり、配送してもらえるというメリットがある。一方、店舗側にとっても、アプリを通じて決済されることにより、顧客の消費情報などのデータを入手したり、管理・分析することができ、今後の品揃えや店舗経営、ネット販売にも反映できる。
同店は今年始めまでに29店舗オープンしており、年内に60店舗まで拡大する予定。アリババ集団では17年にスーパー大手に出資するなど実店舗の買収を次々と進めており、それらも盒馬鮮生として改装、オープンさせていくとしている。
同様の動きはIT最大手、テンセントでも行われている。同社も今年始め、上海市内に「We Life」という衣料品や雑貨などを扱う新業態店をオープンした。ウィーチャットペイで支払うことが前提で、同店のアプリで入店。支払いは出口付近にあるQRコードをスキャンして行い、そのまま退出できるというものだ。テンセントが提携しているネット通販大手の京東集団も、17年末、スマホや顔認証で決済できる無人スーパー「X(エックス)」を山東省煙台にオープンした。「盒馬鮮生」のように果物、菓子、日用品などを販売しているスーパーで、ここも事前にアプリに登録。支払いはアプリや顔認証で支払いするシステムになっている。
京東は他にも北京に「7 Fresh」というスーパーをオープン。こちらは内装などで全体的に高級感を打ち出して差別化しており、マグロの解体ショーや、総菜の実演販売なども取り入れている。特徴的なのは、ショッピングカートのQRコードをスキャンすると、そのカートが顧客のあとをついて歩く自動運転をするという点。顧客は自分でカートを押さなくて済む上に「おもしろい」と話題性もある。