2022年8月15日(月)

メイドインニッポン漫遊録 「ひととき」より

2018年6月26日

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いであつし (いで・あつし)

コラムニスト

1961年、静岡県生まれ。コピーライター、「ポパイ」編集部を経て、コラムニストに。共著に『“ナウ”のトリセツ いであつし&綿谷画伯の勝手な流行事典 長い?短い?“イマどき”の賞味期限』(世界文化社)など。
 

 畑に案内してもらう途中、軽トラに乗った近所の農家のおじさんとすれ違うと「お、取材かい?」と声をかけられる。最初は「変わった若者が藍を作っている」とけむたがられたが、今ではすっかりご近所づきあいの仲だ。

 BUAISOUのトレードマークの3頭の象が描かれた藍染の暖簾をくぐって、牛舎だった手作りのスタジオを見学させてもらう。土間に埋め込んだバスタブのようなステンレス製の槽には天然藍の染料が入っていて、そこに糸の束を漬けると一瞬で鮮やなジャパンブルーに染まる。そうやって染めたシャツが何枚も干してある。

(写真左)黙々と染め液の仕込み作業を行う仲間たち。その顔は実に楽しそうだ
(写真右)牛舎を改造したスタジオで使用する機具のほとんどは手作りによる再利用品だが染め作業の要である槽だけは特注の幅広なステンレス製を土間に埋め込んでいる

 「同じ藍色でも槽によって色も色落ちも毎回違うんです。僕たちにもどう染まるかわからないのが天然の藍染の面白いところです」

 真っ青な手で黙々と染め作業をこなす仲間たちを見ながら、嬉しそうに話す楮さん。

 奥にあるアパレル部門の作業場では、デザイナーの三浦さんがミシンでシャツを縫ったりデザイン画を描いたりしている。

 「僕たちが作るモノはどうしても値段が高くなりますが、それは畑での藍作りから始まり、こうして一点一点、手間と時間をかけた手作業だからなんです」と三浦さん。

 この天然藍で染めたシャツは、まさに「ファームからクローゼットへ」なのである。

 ちなみにBUAISOUの名の由来は、けっして彼らが無愛想だからではありません。「いつかは自分たちでジーンズを作りたい」という願いを込めて、日本人で最初にジーンズを穿(は)いたといわれている白洲次郎の邸宅「武相荘」から名付けたのだ。

 徳島の天然藍で染めたジャパンブルーのBUAISOUのジーンズができるのも、そう遠い夢ではなさそうだ。発売されたら絶対に買おうっと! 

(写真上左)取材時の3月は菜の花の盛り。川は吉野川
(写真上右)地元でBUAISOUの兄貴的存在の納田明豊〈のうだあきとよ〉さんと長男の歩くん、柴犬まめ(♀)。
(写真下右)徳島県特産のサツマイモ「なると金時」を餌にした「阿波の金時豚」を飼育・販売している。 アグリガーデン ☎088-696-2983 10時~18時 定休日:水曜、祝日
(写真下左)納田さんの豚を用いたハンバーグ ナルトベース ☎088-602-8882
11時~23時 不定休

(写真・阿部吉泰)

●BUAISOU
<所在地>徳島県板野郡上板町高瀬355-1
☎050-3741-0041
<URL>http://www.buaisou-i.com/
※BUAISOUでは、基本、見学を受け付けておりません。

  
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◆「ひととき」2018年6月号より

 

 

 

 

 

 

 

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