まずは初動を誤らないことが重要
不祥事が起こってしまった場合、まずは不祥事を問題として認識し、迅速に対応することが重要です。とりわけ昨今ではSNSなどにより急速に情報が拡散しますので、「炎上」する前の初動が肝心です。
そして、不測の事態が起きた場合に速やかな初動を取るためには、日ごろから情報共有に努めるなど、組織内部の透明性を図ることが大切です。
同時に、どれだけ予防しても、時として不祥事が起こってしまうものだという視点を持つことも大事でしょう。
これに対し、今回のケースでは、大学チームの監督が試合後のメディアによる取材で反則を容認するとも受け取れる発言をしたようです。また、試合の数日後、相手チームの所属する大学から、反則行為に対する見解と選手や保護者に対する謝罪を求める申し入れ書が出されていますが、それに対する対応も遅れたようです。
大学側が、早期に反則があったことを認めて謝罪し、事実関係の調査、原因の解明とそれを受けた再発防止についてコメントしていれば、もしかするとここまで大きな騒動になっていなかったかもしれません。
再発防止に向けた積極的な情報発信
不祥事に対する対応は、1. 事実関係や原因の調査、2. 原因の解明を受けた再発防止策の策定・実行、3. 適切な情報開示の3点が重要です。
事実関係の調査とは、「何が起こったのか」「どのようにして起こったのか」という事実関係の確認と、「なぜ起こったのか」といった原因の解明が必要です。
また、同じ不祥事を繰り返さないための再発防止策を策定し、それを実行することが必要です。ここで、事実関係の確認ができておらず、原因も特定されていないとなると、有効な再発防止策を策定することができません。
そして、これらの事実関係や再発防止策について対外的に説明すること、つまり、適切な情報開示が重要です。
情報開示を適切に行わないと「不祥事の隠蔽」と受取られかねません。隠蔽は、それ自体が新たな不正と見なされて事態の悪化を招きます。
また、事実関係や原因、再発防止について情報を発信すべき場面で、場当り的な説明に終始したり、第三者に責任を転嫁したりするような説明を行った場合、「事実関係の調査が不十分」「再発防止に向けた取り組みができていない」と受け取られ「反省していない」としてさらに事態が悪化することになりかねません。
昨今では、SNS等であっという間に事態が「炎上」してしまいます。迅速な情報開示は、炎上を食い止め、鎮火するため、ますます重要性を増しているといえます。