IBMワトソンもメニュー考案
しかも、一流シェフにとっても脅威と言えるのが、「世界中の最高のグルメのレシピを考案するAI」の存在だ。IBMワトソンが現在この分野にも注力しており、今年開かれたフェスティバルでは「ベトナム風アップルカバブ」「ベルギー風ベーコンプディング」といった料理を披露した。どちらも耳慣れない料理だが、これこそワトソンが世界中のレシピを分析し、考案した料理なのだという。
つまりAIは「創作料理を生み出す」ことにまで成功しており、もはや調理、レストランサービスという分野でロボットに置き換えられない業務はない、という段階に来ている。もちろん高級レストランを選択する人は味気ないロボットではなく人間による丁寧な接客を望むのかもしれないが、それも近い将来非常に限られた贅沢な選択になるかもしれない。
一方でAIが飲食業界を活性化している、というデータもある。その最大のものがスマホアプリによるオーダー、宅配サービスだ。米国でもっとも成功している電子マネーはアップルペイでもグーグルウォレットでもサムスンペイでもなく、スターバックスマネーだと言われる。アプリにより注文、支払いができることでスターバックスの業績は確実に伸びている。
それでも今回のラスベガスの組合とカジノホテルとの交渉は、今後の飲食業界の未来を占うイベントになりそうだ。オートメ化による合理化を追求するのか、現時点では雇用を守る方向に合意するのか、雇用側の対応には全米の飲食業界の注目が集まることになる。
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