2024年11月22日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2011年4月8日

狼が羊の皮を脱ぎ捨てた時

 日本政府は結局、中国海軍の病院船派遣の受け入れを「横付けが難しい」と申し出を断った。中国側の意図を察知しての判断であったかどうかはよく分からないが、至極当然の意思決定である。

 が、日本側が「病院船の受け入れを断念」と発表した3月26日、中国側はすぐさま「震災支援」とは正反対の行動に出た。その日の午後4時45分頃、東シナ海の中部海域で、中国国家海洋局所属と見られるヘリが、警戒監視にあたっていた海上自衛隊の護衛艦「いそゆき」に異常接近した。日本政府はこれに抗議したが、中国政府はいつものように開き直り、自らの挑発行為を正当化した。そして数日後の4月1日、今度は同じ中国国家海洋局の小型機が東シナ海の公海上で、警戒監視中の海上自衛隊の護衛艦「いそゆき」に水平距離約90メートル、高度約60メートルまで接近し2回ほど周回した。

 日本が未曾有の大震災への対応で手いっぱいとなっているこの時期の度重なる挑発行為は、まさに「火事場の泥棒」と称すべき卑劣なものである。下心からの「病院船派遣申し出」が断られた途端、中国政府はすぐさまその本性を現した。狼はさっそく、羊の皮を脱ぎ捨ててその凶暴さをむき出したわけである。その一件からも、中国という国の不変な体質がよく分かるのではないだろうか。
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