「音」ではなく「人」を届けている
Voicyの人気が高まっていくのを見て筆者が不思議に思ったのは、「Podcastと何が違うのか」ということだ。Apple社が2005年に世に送り込んだPodcastはアメリカで普及したものの、日本ではそれほど流行っていない。
「VoicyとPodcastのもっとも大きな違いはおそらく、コンテンツを作りこむ方向性です。Podcastにはきれいに作りこまれてパッケージされたコンテンツが揃っています。一方、Voicyが作りこむ方向は、いかに『生の声』をそのまま届けるかということです。そのためにVoicyとしてあえて行ったことがあります。それは『編集機能を削る』ということ。カットしたり、上から声を重ねるといった作業がいっさいできません。なぜなら人は装飾できる環境を与えられると、内容よりも装飾のほうに力を振り向けてしまうからです」
IoTのインフラ構築というきわめてデジタルな事業を手掛けながらも、緒方代表の視線はつねに人間のアナログな部分に向けられている。それを裏付けるように、こう締めくくった。
「きれいに作りこまれたコンテンツは、それが『役に立つかどうか』で見られてしまいますが、Voicyが送り出すコンテンツは役に立たなくてもいいんです。『ワクワク』したり『ハッピー』になれたらそれでいい。Voicyが届けたいのは『音』ではなく、『人間』そのものなんです」
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