2024年4月20日(土)

家電口論

2018年7月28日

尾瀬を訪れる人々

 尾瀬を散策して気づくのは、散策者の年齢層に偏りがあることです。60歳以上のパーティか、遠足できた子ども。壮年期の人がほとんどいないのです。それと、今の日本、どのエリアにもいる海外からの観光客。尾瀬を訪れる外国人観光客は、ここ数年増えていますが、富士山や屋久島などと比べると、認知度は低いそうです。

 酷な言い方をすると、メインは「夏の思い出」を知っている層か、「遠足」で来た近くの小学生というのが、繁忙期の木曜日〜金曜日の尾瀬なのです。 

 この原因ですが、やはり日帰りが難しいことが大きいと思います。アウトドアは人が群れていると面白くありません。できれば休暇を取ってとなるのですが、尾瀬を満喫するなら平日3日休みが欲しい所です。これがなかなか難しい。特にボーナス商戦のこの時期、3日間休ませてくれというのは、厳しいでしょう。

尾瀬、自活ビジネスの方法は?

 尾瀬は自然を傷つけないように、人が知恵を絞って守って来たエリアです。ダム計画を持ってはいたモノの、自然保護に対し、東電が行った功績は非常に大きいものがあります。2011年の福島原発で、東電の資産が見直された時、東電は尾瀬の売却を考えたそうですが、地元の自治体から「これまで通りにして欲しい」との嘆願を受けたそうです。

 理由の一つはお金です。自然保護には、お金がかかるのです。入山者が尾瀬で使うお金が少なくなると、やはり厳しい状態になります。尾瀬のトイレは全て有料です。そうしないと水洗トイレが維持できないのです。

 一人ひとりにお金を落としてもらうことも必要ですが、同時にある程度まで訪山者を増やす必要があります。ポイントは、休日ではなく平日に人を呼ぶことです。

 私はもっと外国人観光客(主には欧米人)に、尾瀬に来てもらい、語ってもらうのはどうかと思いました。日本でも海外トレッキングツアーは人気があります。尾瀬は、こんな歴史を辿り、ダム化されようとしたことこと、観光客が増え自然が荒らされたこと、そして今のような自然保護となり、これ程の自然が残っているとアピールするわけです。

 今まで書いていませんでしたが、尾瀬は「ゴミ箱」がありません。持ち込んだゴミは自分で持って帰るのが当たり前です。これは「ゴミ箱があるからゴミが捨てられる」ことの逆説的な発想ですが、尾瀬はこれを1972年に実施。見事にゴミをなくした経緯があります。これなども、プラスにとらえてもらえるのではないでしょうか?

 私も吉野山で花見客が残した膨大な弁当の残骸に顔をしかめたことがありますが、ゴミ箱があると、近くに置いとけばなんとかなるだろうと、結果膨大なゴミ量となったわけです。尾瀬はこの元(ゴミ箱)を絶ったわけです。

 尾瀬が「日本自然保護発祥の地」と言われる理由です。また、自然を傷つけないためにキャンプより山小屋がいい。山小屋では、太陽光発電など、いろいろな工夫がされているなど、お客が満足するネタは数多くあります。これらを海外の体験者に「身軽で、ディープな、トレッキング」として情報発信してもらうのです。その結果、日本でも尾瀬の再認識が行われるというストーリーです。当然、入山者も増えます。

 尾瀬は、世界に通用する自然名所として注目を浴びるポテンシャルのあるスポットだと思います。

  
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