「待つ」には準備とスキルが必要
さて親の3原則の3つ目は(3)の「待つこと」。
多くの親御さんにとって、これが一番難しいようです。
「待つ」とは「我慢をすること」と思い込んでいるからです。
ですが、「待つ」ことに我慢は必要ありません。
むしろ必要なのは、「待つ」準備とスキルです。我慢が必要ないように、整えるのです。
「待つ」という言葉を辞書で調べると、
1.人・物事・順番などが来るのを望み、頼みとして、時を過ごす。
2.用意して備える。
と説明されています。
ただ望むだけでなく、用意して備えるという計画性も含まれているのですね。
さらに、親の3原則の「待つ」には、計画性に加えてもう一つの要素が必要です。
「それが実現できると信じること」です。
子どもが何かに関心を持ち、何かをやろうとしています。ところが、なかなかうまくいきません。手を貸してあげれば簡単ですが、やってあげるばかりでは、子どもは伸びない。
でも、先々の見通しがあればどうでしょう? 今はできないけれど、本人もやり方は分かっているから、もう少しすればきっとできるだろうなと、親の自分には分かっている。
それなら、今は手を貸さず、もう少し本人にやらせてみようと待つことができますよね。
一方、見通しが何もないのに、本人任せにして放置する。それを「待つ」ことだと思ってしまう。これはマズイです。子どもに失敗を経験させ、失敗から学ばせるということは意味があります。しかし、本人ができる気もしていないのにいつまでも取り組まされて、失敗を重ねるというのは良くない。ただ自信をなくさせるだけだからです。
子どもをよく観察して、根拠を持って信じる
ですから、「待つ」ためには、子どもをよく観察することが重要になってきます。
どこまでなら自力で出来そうなのか、また、本人が「できそう」と思っていることは何で、どういったことには自信を持てていないのか、といったことを日々の生活の中で、親がつかんでいくようにするのです。
子どもの力だけでなんとかなりそうなら待ち、ちょっと難しそうなら何か打てる手があるかを考えておく。そうしておけば、親は焦ったり、我慢したりせず、ゆったりと待つことができます。根拠を持って信じるのです。
例えば、お子さんが中学受験を目指している4年生で、算数を苦手にしているとします。塾の宿題は本人なりにちゃんとやろうとしている。でも、成績はなかなか伸びない。親としては、なんとかしなきゃという思いにかられますね。
でも、お子さんの様子を観察していると、どうやら塾の授業は集中して聞けていて、時間がかかりながらも宿題もなんとかやり遂げている、ということが分かったとしましょう。
内容を理解するのに時間はかかっているようだけれど、勉強そのものをギブアップしているわけでもない。
そうすると、「4年生のうちは、本人なりにがんばらせてみようかな」と、信じて待つこともできるようになります。
その上で計画性の要素も加えると、先の見通しがさらに立って、より上手に待つことができます。