2023年1月30日(月)

Wedge REPORT

2018年9月6日

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イノウエヨシオ

株式会社ファンドレックス取締役COO(最高執行責任者)。共益投資基金ジャパン代表理事。NPOや公益法人向けのファンドレイジング研修では年間3000名以上に講演。地域の課題解決のための取り組みを全国各地で行うと共に、チャリティイベントの企画や災害対応の研修などで高い評価を得ている。資金的支援に経営的支援を組み合わせた新しい資金循環にも取り組んでいる。

だからこそ、改めて「共助」「自助」に頼っていいのか?

 9月1日の防災の日を中心とする防災週間(今年は8月30日から9月5日)は、平常時より災害に対する備えを心がけ、発災時には自ら身の安全を守るとともに、地域住民及び企業が連携してお互いに助け合う「自助」、「共助」の取組を行政による「公助」と連携してさらに拡大させることが必要であり、これによって社会全体における防災力を向上させるために実施されている。

 災害時に最後に命を守るのは自助で、東日本大震災では、子供たちが自らで判断して逃れ、高齢者や年少者の補助まで行った「釜石の奇跡」が有名になった。

 しかし200人以上が犠牲となった7月西日本豪雨では「数十年に一度」の大雨への警戒を呼び掛ける特別警報が11府県にだされたが、避難に結びつかなった事例が多発、特に高齢者の自力避難が困難な人の犠牲が目立った。

 NPO法人CeMI環境・防災研究所(東京都)の調査によれば、西日本豪雨で自治体から避難勧告・指示が出された広島、岡山、愛媛3県の60歳以上の住民のうち、約97%が自宅に留まっていたことがわかった。豪雨での死者は6割以上を60歳以上が占めている。これまでの長年の経験から今まで被害が出なかったから今回も大丈夫だろうと過信してしまうことが浮かび上がってくる。ただ、ウェザーニューズの西日本豪雨に対する調査では、「自分は大丈夫」と84%が避難せずなので高齢者だけではなく、家のほうが安全だと考える人が多いことを示している。

 そこで「共助」身近な近隣住民が普段から顔を見える関係になっていて、住民同士の協力によって「地域防災力」を強化する取り組みが進められている。自治会単位での独自雨量計の設置、ハザードマップに基づく避難訓練の実地などだ。

 共助が著しく育ってきているのは大変心強いものだが、あえて、それだけでよいのかを改めて考えておきたい。

 日本は災害大国であり、災害は「必ず」起こる。数十年に一度が毎年、発生する。だからこそ、それをもっともっと前倒しで対応していかねばならない。西日本豪雨の際には7月5日から8日にかけ避難指示と避難勧告は全国で約360万世帯・863万人に発令され、3779カ所の避難所に約2万8000人が避難をした。災害が発災するたびに、救助や避難対応にあたった方々の献身的な努力は誠に貴いものがある。その一方で、私たちは「体育館に段ボールを引いて」肩を寄せ合って過ごす避難を余儀なくされた人々の姿に「馴染んでしまってはならない」と思う。


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