関与から対抗へ
こうしたトランプ大統領の過激な言動がとりわけクローズアップされる一方で、米識者の間では、米中対決が「単なる貿易戦争ではない」との見方も根強い。米国は1972年、当時のニクソン大統領が電撃訪中して国交を樹立して以来、中国を国際的な枠組みに取り込もうという「関与政策」を続けてきた。
グローバル化が進むにつれ、中国は世界の工場として急成長、米国との相互依存関係を強めた。だが、オバマ前政権の頃から、こうした協調に基づく「関与政策」が中国の政治・経済の開放をもたらさなかったという焦燥感がエスタブリッシュメントの間に広まった。トランプ政権に交代してからも、中国が近い将来、経済的に米国を凌駕するのではないか、との脅威論が強まった。
トランプ政権は巨額な補助金を使った中国の産業育成策「中国製造2025」をつぶしたいという思惑もあるといわれ、底流で米国の対抗勢力を抑え込む「中国封じ込め論」が急速に形成されつつあるようだ。オバマ政権の国務次官だったカート・キャンベル氏らは米外交専門誌への寄稿で「関与政策」の失敗を論じる一文を発表している。