常任理事国の資格あるのか
今回のカショギ氏殺害疑惑は、〝被害者〟と〝加害者〟がサウジ国籍、舞台がトルコ、氏が活動していたのは米国―と、構図が複雑であり、サウジは日本にとって最大の原油供給国でもあるため、口を出したくないという思いも頷けないこともない。
しかし、日本は以前から国連安全保障理事会常任理事国入りをめざしてきたのではなかったか。実現は難しい気配とはいえ、その看板をいまだに下ろしていないはずだ。厄介な問題に関与することを避けていては、常任理事国入りなど誰が支持してくれるか。夢はますます遠のくばかりだろう。
カショギ氏の死亡を認めたサウジ政府の発表をうけて、どういう対応を示すか注目されるが、腰の引けた対応は許されまい。
それにしても、カショギ氏の死亡事件は、奇怪という他はない。いくら政府に批判的だからといって、著名なジャーナリストを残忍きわまりない、しかも簡単に当局の関与が露見するような手段で殺害するだろうか。にわかには信じがたい話であり、それだけに、サウジ政府の説明もあながち、うそではないのではないかと思えてくるから恐ろしい。
サウジ政府は事件に関与した18人を拘束したことを明らかにしているが、一刻も早く真相が解明され、実行行為者だけでなく、関与したすべての人物が法による裁きの場に引き出されることを期待したい。
冷酷、残虐な事件は全世界のメディアだけでなく、民主主義への卑劣な挑戦でもある。
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