2022年8月8日(月)

From LA

2018年11月25日

»著者プロフィール
閉じる

土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

乗り越えなければならない課題

 米国では移植用に摘出されたものの劣化により移植に使用されない腎臓は20%前後だという。ドローン輸送の導入によりこの数字を低めることが出来れば、移植により助かる命が増える、と論文は主張している。今回の実験でのドローンの速度は時速67キロ程度だったが、もし時速350マイル(約560キロ)で飛ぶドローンが実現できれば、米国の東西を結ぶ臓器搬送も可能になる。腎臓は摘出後24時間以内に移植できるのが理想とされるが、現在の米国の平均搬送時間は16−18時間、内陸部郊外など一部の場所では30時間を超えることも少なくない。

 ただしドローンの臓器搬送への導入には超えるべき壁も多い。最大のものは現在のFAA(連邦航空局)による規制で、ドローンは可視範囲の高度で飛ぶことが定められている。そのため現時点ではドローンは短距離の輸送にしか適さない手段となっている。また今回の実験では短時間の飛行であるため臓器の劣化は目立たなかったが、長距離を移動する場合は現在よりも大掛かりな冷蔵ボックス装置が必要となり、その重量に耐えうる、かつ長距離を高速で移動できるドローンを開発する必要がある。

 医学の現場でのドローン活用は臓器搬送に限らない。ミシシッピー州のウィリアム・キャリー大学では自然災害の際、あるいは僻地への医療支援物資のドローンによる輸送を研究している。医学の現場へのドローン活用は今後も可能性が広がっていきそうだ。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る