家電口論

2018年11月30日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

モノを買う世代、モノを買わない世代

 デフレが続く理由には、いろいろな理由があると思いますが、その内の一つに、若い人がモノを買わないということが上げられると思います。

 例えば、今の若者とスマホは切っても切れない状況です。その結果、当然ですが通信費にかなりの額が廻ります。となると、モノに廻すお金などはありません。政府が「0円スマホ」に対処しているのは、通信費だけにお金が集中すると、モノが売れなくなる。インフレ2%が達成できないからです。

 しかし、今の若者は、子どもの頃からモノに囲まれた生活で、それが当たり前。となると「新品」でなくても「中古」でいいやという話しになります。彼らは自分たちに合う、安くてイイモノ(楽しいモノ)を探して買います。中古もありなら、ネットオークションでもいいでしょう。だから彼らの生活の質は悪くはないです。ただ単に画質に極端にこだわった高級テレビには、食手はのびないのです。

若者に受けそうなA6800シリーズ

 今回、ハイセンスが市場に問う「A6800シリーズ」は、この辺りのことを十分踏まえて商品化されています。

 まずサイズは50V型と42V型の2サイズ。これはワンルーム想定です。日本のテレビメーカーは、「迫力が増す」「新しい体験」と称して、70V型、65V型などをフラッグシップにしていますが、実際にこれを部屋に入れるとなると大変です。まるで、テレビ部屋。テレビに圧迫されます。ワンルームなら特にそうです。小さな2サイズに絞ったのは良い着眼です。

 次に、東芝映像ソリューションと共同開発した「レグザ エンジン NEO」を搭載している点が大きなポイントです。パネル生産競争に敗れた日本メーカーの拠り所は、画像を調整する「画像エンジン」でした。有機ELパネルは、すべてLG電子なのですが、それでもソニー、パナソニックなど日本メーカーの画質がよりいいのも、画を作り込むエンジンが優れているからこそ。マニアには垂涎モノの技術です。当然、マニアはいろいろ調整をかけます。画像エンジンもニーズに答え、「壁紙の色に対し、画の輝度をどのように合わせるか」など、非常に細かい画作りまでできるものさえ、あるくらいです。

レグザ エンジン NEO。画像エンジンとは、画質調整回路が搭載されたチップ

例えばマニュアルとオートマの違いと「中魂和才」

 日本メーカーの画像エンジンが、クルマでいうマニュアル車だとすると、レグザ エンジン NEOはオートマ車です。「立体感あるハイコントラストな映像」、そして「自然で鮮やかな映像」を自動で制御してくれるのがポイントです。実際、前のモデルと比べると、画は仕舞っていますし、キレイです。ただ、追い込んだ画質には敵いません。しかし、かなりキレイです。しかも、周りの明るさで輝度を変えるなどのきめ細やかさも持っています。この「中魂和才」テレビの画質は、かなりの人に高い満足度を与えると思います。

 そしてスゴいことに(呆れたことに)、このテレビチューナーを9つも持っています。地デジ×3、BS×3、110度CS×3。要するに裏番組2つまでなら録画が可能ということです。

 また、使い勝手もかなりカスタマイズ化ができます。これは今まで余りされてこなかったのですが、スマホなど自分の使い方に合わせるのが当たり前の若者にはむいていると思います。

 最後は価格。50V型で市場想定価格10万円、42型9万円だそうです。「この価格は、ユーザーに合わせて決めた。」としていますが、若者でも手が出る価格です。

若者のライフスタイルに合わせ、ゲームモードを持つ。反応のよさも、東芝ゆずり。

 日本メーカーなら今ある技術で作れますが、欠けているのはユーザー目線。技術ばかり見ているからです。「高画質」押しで開発、製品化。値段が軟化して一般ユーザーへ、では、ユーザーの財布の紐を緩めることはできません。

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