2024年12月23日(月)

家電口論

2018年11月30日

 中国 ハイセンス社。中国のテレビメーカーの中でも有名な一社です。FIFAワールドカップのメインスポンサーを行うなど、欧米でも名前が通っておりますし、東芝のテレビ会社、東芝映像ソリューションを傘下に収めました。ただし、東芝映像ソリューションは、東芝・レグザ(REGZA)ブランド映像商品、テレビ、BDレコーダー他は、自社開発・販売・修理を継続し、「今まで以上に強化していく」としてきました。

 この11月、ハイセンス・ジャパンから新しいテレビの発表がありました。彼らは日本市場をどのようにしようと考えているのでしょうか?

ハイセンス SMART TV 50V型液晶テレビ 50A6800

日本テレビ市場で、現状第5位のポジション

 日本の家電メーカーは、総合家電メーカーが非常に多く、そのほとんどがテレビを作っていました。しかし今、頑張っているのはシャープ、ソニー、東芝、パナソニック、三菱です。サンヨー、ビクター、日立などがテレビを作っていたのは、今は昔の話し。また、製造を続けるメーカーも、シャープ、東芝は、中国メーカーの資本が入ったりしており、昔の名前では出ているモノの、ちょっとニュアンスが違います。

 さて、この次にくるのは、海外メーカーです。有機ELテレビで名を馳せた韓 LG電子を抑えて、第5位に付けているのがハイセンスです。2017年の通年シェアは6.7%(ハイセンス発表、GFKデーター)。

 このシェアが示すのは、日本市場におけるハイセンスの非常に微妙なポジションです。

 マーケティングには、ランチェスターの法則から導き出されるマーケットシェア理論があります。例えば、市場参入時に『橋頭堡を築く』という言い方をします。これはシェアにすると2.8%。「拠点目標値」と言われます。よく2〜3%のシェアが続くと「瀕死状態」と言われるのは、このシェアが橋頭堡にしかならないためです。

 次の目標は、市場にその製品が存在することを認知してもらえるシェアです。「存在目標値」と言います。数値にして6.8%。6.8%のシェアを占めて初めてユーザーに、「なんかあるぞ」と認知してもらえ始めるというわけです。今のハイセンスは、競争メーカーには知られているが、ユーザーにはほとんど知られていないメーカーという立ち位置です。

 さて、これからハイセンス・ジャパンはどうするのでしょうか?

 日本市場は、東芝ブランドに任せて撤退するのでしょうか?それとも策を講じるのでしょうか?

日本市場は高画質市場なのか?

 2020年に向かい、日本のテレビメーカーは大忙しです。地上波2K(ハイビジョン)放送でも、アップコンバーターで4K映像に変える形で、4Kテレビを販売してきましたが、12月1日から、BS/110度CS放送で4K放送が始まります。

 いろいろなメーカーが、鼻息も荒く、対応チューナーを搭載したテレビの新製品を並べています。

 といっても、一番最初に買うのはマニア。そして一般導入の素地ができるのは2020年の東京五輪でしょう。ここらへんで、値段も軟化して、一般の人も4Kチューナー付きのテレビを買うというのが一般的な流れと言われています。

 しかし本当にそうでしょうか? 2011年の地デジ化の時は、アナログテレビでは、デジタル放送を受信できないということで、滅茶苦茶な台数を売りました。しかし翌年から、日本メーカーのテレビ事業は壊滅的な状態になります。

 テレビの総入れ替えをしたわけですから、ユーザーからみると買う必要はありませんし、また最後、販売競争でテレビ価格を下げたため、ほとんど利益がでなくなりました。先端技術開発投資、高品質に投資してきた日本メーカーは、低価格販売に耐えられないのです。デジタル黒モノ家電で、日本のメーカーは、中国の価格を追求した、既存技術を使ったテレビに、価格で追いつけないのです。

 しかし、海外メーカーが日本市場に対し異口同音に言うのは、日本人は画質にこだわる。高くても買う。だから参入しにくい。これは本当なのでしょうか?


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