2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年12月17日

 ロヒンギャ問題は、全く解決の糸口が見えない状態にある。前出ニューヨーク・タイムズ紙社説は、「ミャンマーにまっとうな行動をさせるには国際刑事裁判所による訴追、制裁、旅行制限、資産凍結によってそれを強制するしかない」と主張するが、そうした強硬手段で解決するようにも思えない。また、同社説は「中国はミャンマーとバングラデシュに影響力を行使してもっと有用な役割を演じることが出来る」とも言うが、中国の役割に期待するのも如何なものかと思われる。

 役に立つかも知れないことは、ASEANが表立ってミャンマーに解決の必要性を説くことであろう。シンガポールのASEAN首脳会議に出席したマハティール首相は11月13日、記者団に「アウン・サン・スー・チーは弁護出来ないことを弁護しようとしているように思われる。彼女には失望した」と述べた。ASEANはお互い他国の事情には干渉したがらないが、それをやる胆力があるのはマハティールであろう。他にインドネシア、ベトナムが期待出来るかも知れない。迂遠に見えるかもしれないが、ASEANに彼等の地域が抱える問題の解決に自主的に取り組むことを強く促すこと以外に、あまり良い策は考えられない。

  
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