立花聡の「世界ビジネス見聞録」

2018年12月24日

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立花 聡 (たちばな・さとし)

エリス・コンサルティング代表・法学博士

1964年生まれ。早稲田大学理工学部卒。LIXIL(当時トステム)東京本社勤務を経て、英ロイター通信社に入社。1994年から6年間、ロイター中国・東アジア日系市場統括マネージャーとして、上海と香港に駐在。2000年ロイター退職後、エリス・コンサルティングを創設、代表兼首席コンサルタントを務め、現在に至る。法学博士、経営学修士(MBA)。早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。

 

北極圏に住む日本人と鯨料理

 北極圏のグリーンランドには、たった3人の日本人が住んでいる。私は偶然の機会で、そのうちの1人に出会った。

 イルリサットの街で昼食を取ろうと入ったレストラン「イヌイット・カフェ(Inuit Cafe)」。笑顔で迎えてくれたのはなんと日本人だった。まったく予想もしなかった出来事、思わず記念写真の撮影を求めた。

グリーンランドに住む日本人ヨウコさんと筆者(写真:筆者提供)

 ヨウコさんはデンマーク本土住まいだったが、数年前からグリーンランドに移住し、いまはイルリサットの街で働き、暮らしている。それにしてもグリーンランドにやってくる日本人旅行者、特に私のような個人旅行者もまた珍しいと、ヨウコさんも驚いた。

 日本人客とわかると、すぐに鯨料理を薦められた。鯨ステーキにご飯を添えてくれるのがあり難い。もうパン食の連続で、ご飯への恋しさが募るところだった。鯨肉の味もまた素晴らしく、ソースをご飯にかけて頬張った。

鯨料理(写真:筆者提供)

 北極圏のグリーンランドでの捕鯨は、「原住民生存捕鯨」として一定の捕鯨が国際捕鯨委員会(IWC)に認められているようだ。後日談になるが、ちょうど数日前、日本政府が商業捕鯨を再開するためIWCを脱退する方針を固めたと報じられた。この辺は文化や価値観の相違で世界で論戦を繰り広げても収束ができないだろう。私はグローバリゼーションは一種の理想あるいは幻想だと思っている。過剰なルールの一元化を求めることが、かえって色々な紛争を生み出す原因の1つにもなっている。

 グリーンランドを訪れる日本人旅行者は年間僅か400名未満。デンマーク政府の統計によれば、2014年には393人だったという。日本ではグリーンランドの知名度が低いうえ、飛行時間が長く、旅費もかさむなどの阻害要因が挙げられている。

 ヨウコさんによると、最近日本のTV番組がグリーンランドの題材を取り上げ始め、彼女自身も現地で取材の協力を引き受けていた。さらに、大手旅行会社も宣伝を強化しているところで、日本人旅行客数が少しずつ増えるようになったという。それでも、ツアー客がほとんどで、私のような個人旅行者は年間数十名いるかいないかの状態だった。

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