上記の「アジア再保証イニシアティヴ法」(ARIA)が米国議会上下両院において全会一致で可決され、トランプ大統領がすぐに署名したという意義は大きい。これは、2017年12月(ARIA可決の1年前)の国家安全保障戦略で既に指摘された中国との競争が、2018年を通じてより鮮明になり、3月の台湾旅行法の成立(2月28日議会可決、3月16日大統領署名)、8月の2019年度国防権限法(NDAA2019、8月13日大統領署名)の成立により、中国に対する政策が具体化して行く中で、それをインド太平洋という地域戦略として議会が法律化し、行政府の長である大統領が認めたものである。内容的に、外交・安全保障から経済、人権と包括的なものになっている。10月4日のペンス副大統領の対中政策演説とも呼応する所が多い。
法律文書の冒頭の目次の後に示された議会が「認定したこと」(Findings)7項目を上記したが、その中で名指しして挑戦者として挙げられたのは、中国と北朝鮮とテロ組織である。そして、特に中国に関しては、パックス・ブリタニカの後のパックス・アメリカーナに対する挑戦的覇権国家であるというような示唆がなされている。今回の法律が「長期戦略ヴィジョン」を発展させていくものと明記されていることからも、米中対立は当分続くのだろう。
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