高額にもかかわらず賑わう店内
同店のコンセプトは「世界中から調達した最も個性的なコーヒーの焙煎と抽出を楽しめること」というだけあって、ロースターで生豆を焙煎し、挽き立てのコーヒーをその場で飲めるのがウリだ。天井にはロースターで焙煎した豆が運ばれるレーンが張り巡らされており、豆はバリスタがいるところまで直行するようになっている。コーヒー好きにはたまらない「挽き立て、淹れ立て」を楽しむことができる。
メニューはおよそ100種類。世界中のコーヒーがあるのはもちろんだが、それ以外、意外に多いのがアルコール類のラインナップだ。クラフトビールやウイスキー、ワインなどがある。その他にジュース類や中国茶の種類もかなり多い。従来のスタバにはないベーカリーも併設されているだけあって、クロワッサンなどのパンやピザも焼きたてを提供している。最も驚くのはその価格。通常、中国のスタバでは、ポピュラーな美式珈琲(アメリカンコーヒー)は30元程度だが、同店のアメリカンコーヒーは40元(約680円)で、既存店より高い。私が注文したカフェラテは46元、ほかにエスプレッソが33元、カプチーノが46元。ベーカリーのパンはクロワッサンが30元(約500円)、ピザ(1ピース)が78元(約1300円)もして驚いた。アメリカンコーヒーとピザ1ピースを注文するだけで、日本円で2000円になる計算だ。
いくら上海の物価が高いとはいえ、カフェの料金としてもかなりの高額。それにもかかわらず、店内はオープン以来、常に満席状態が続いており、週末には店の外にも行列ができるほどの人気ぶりだ。客層を見てみると、20代から40代くらいの男女が目立つ。一人で来ている人もいるが、私が訪れた日は、どちらかというと2人~5人連れくらいのグループが多かった。欧米人も多く、欧米人の中にはパソコンを開いているビジネスマン風の人がかなりいた。スマホを片手にウロウロして写真撮影をしている人もいる(私もその一人だったが……)。要は物見遊山の顧客がまだかなり多いということなのだ。同じ中国人でも、おそらく上海以外からやってきた観光客もいただろう。その証拠に、なまりの強い中国語を話す人の声がちらほら聞こえた。
顧客だけではない。店員の胸のバッジを見ても、「john 大連」「Bob 北京」など、自身の英語名と、出身地が書いてある。店員は皆イケメン&美女揃いで、気軽に顧客の質問に応じている。ざっと店員の数を数えてみると、2フロア合わせて100人以上いた。顧客数はとても数えられなかったが、700~800人くらいはいたのではないだろうか。しかし、これほど顧客が多くても、店員も多いので、何か聞こうとするとすぐに駆け寄ってくる。私が訪れた日は確かに混雑していたが、それでも椅子は探せば見つかる程度だった。週末ともなれば、おそらく椅子を探すのも困難だろう。