“熱視線”ラグビーW杯2019の楽しみ方

2019年4月2日

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――レフリーとのコミュニケーションという点では、キャプテンがリーチ・マイケル選手ということも日本代表の強みになりそうですね。なにか特別なプログラムのようなものはあったのでしょうか。

 

平林:キャプテンが廣瀬俊朗選手からリーチ・マイケル選手に替わったことで主な言語が日本語から英語に変わり、外国人レフリーに対してもボディランゲージも含めてコミュニケーションの取り方が変わりました。

 フォワードのアシスタントコーチとエディーさんと僕の三人でキャプテンシーについて話し合い、特別なプログラムが必要なのか、それとも経験的に積んでいくべきものなのか議論しました。

 エディーさんたちが選んだのは経験型でした。リーチ選手自身に経験を積んで学んでもらおうというものです。

 僕の役割は試合が終わるごとにゲームマネジメントという面から、レフリーとのコミュニケーションの取り方や、ゲームへの介入の仕方についてフィードバックしていきました。

 分析シートを作ってポジティブなところと今後取り組まなければならないことを指摘していくのですが、ゲームにはいくつかのターニングポイントがあって、そこにレフリーが絡んでいる場合に今後どのように打開していくべきなのかを考えていきました。

 トップレフリーにもミスジャッジがありますし、解釈の違いということもあります。こちらがそれに気づいている場合、そのままの解釈でゲームを続けられるとストレスがたまってしまいますので、どこかで気づいてもらえるようコミュニケーションを図りながら布石を打っていかなければなりません。

 こうした検証を重ねてゲームマネジメントのスキルアップを図っていきました。

「ハードワーク」よりも強みだったのは……

――平林さんにはルール面での役割もあったとお聞きしました。

平林:アシスタントコーチが新しいサインプレーを考えたときに、ルールには抵触していないだろうかとか、世界のレフリングのトレンドから見てリスクはないかなどをアドバイスしました。

 たとえばラインアウトの反則に対して厳しく吹くというトレンドがあるのに、ラインアウトで奇襲作戦を立てるのはリスクがありますから、避けた方がいいといったようなアドバイスになります。

 これは僕が担っていた役割の中でも大きな部分を占めていました。

――ジャパンが強くなった要因に「ハードワーク」が挙げられますが、それと並行して様々な専門家集団の知が結集してチームとしてのインテリジェンスが高まり、その上でのハードワークということだったのですね。

平林:まさにエディージャパンの強みはそこにあります。

 僕はエディーさんの前のジョン・カーワン時代から日本代表に携わってきましたが、カーワンさんは日本代表団というひとつのチームを構成して、その一団が海外に遠征するという考え方でした。

 一方のエディージャパンは、エディーさんの人脈で海外にもさまざまなスペシャリストのブレーンがいて、ネットも含めてエディーとそれぞれが繋がって日本代表に関わっていました。

 たとえば脳科学の専門家をオランダから呼んだり、南アフリカがオールブラックスを破ったときに戦術を考案した大学教授をオーストラリアから招いたりするなどして、準備の過程でいろいろな試みをしていました。総勢でどれだけのスタッフが関わっていたのかわかりません。

 エディージャパンといえば、すぐに「世界一のハードワーク」なんて言葉が使われますが、本当の強みは必要に応じ人脈を駆使して専門家の知を生かすことも大きかったと思います。

 

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