強制連行は出稼ぎだった?
いわゆる強制連行の問題についても、崔氏は材日コリアンから以下のような話を聞いて驚かされたという。
「99年頃だったと思います。はじめて在日コリアンの人に出会いました。そこで、『強制連行で日本に来させられたのですよね?』と尋ねると、『いやいや、仕事を探しに来ただけだよ』という答えが返ってきたのです。最初は、この人が特別なのかな、と思っていました。ところが、その後多くの在日コリアンに会いましたが、少なくとも私が会った人の中には、一人も強制的に日本に連れて来られたという人、もしくはその子孫はいないのです」
差別がなくなったわけではないが、「大きな差別は少なくなった」と、来日当初に聞いて、崔氏は驚かされたという。また、こうした話を、韓国に戻って友人たちにすると、誰も信じてくれなかったと振り返る。
そして、崔氏が日本で未だに不当な差別を受けて苦しんでいると信じていた在日コリアンから、逆に慰められたという。97年のアジア通貨危機で、韓国通貨ウォンが暴落して経済的に韓国は苦境に立たれていた。「通貨危機でいま、韓国は大変だったしょう」と、声をかけられたという。
日本企業で働いたのち、執筆活動を本業とすることを選んだ崔氏。「国に対する不信感が募りました。自分の国が貧しくても恥ずかしいと思いません。でも、嘘をつくのは恥ずかしいことです」。
韓国では「反日」ということになると、右も左も関係なく、「オール反日」になってしまう。それを先導するのがマスコミで、例えば日本では、左右の新聞社がそれぞれの主張を検証するといったことが起こるが、韓国において「反日」ということに関しては、ほぼノーチェックで情報が垂れ流されるのだという。