2022年12月4日(日)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2019年5月30日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

ギブアンドテイク

 トランプ大統領は、今回の訪日で安倍総理に少なくとも2点で「貸し」を作りました。

 まず、北朝鮮拉致被害者の家族との面会です。トランプ大統領は、「拉致問題はいつも私の頭の中にあります。これは安倍総理にとって第一優先項目です。彼は日本を愛し、あなた方を愛しています。私たちは協力し家族を日本へ戻します」とまで述べて、安倍総理を持ち上げました。

 トランプ大統領は北朝鮮の拉致問題で結果を出せない安倍総理に助け船を出し、夏の参院選でマイナス要因にならないように選挙協力をしたワケです。

 次に貿易交渉です。トランプ大統領は、「参院選が終わるまで待つ」と自身のツイッターに投稿して、貿易問題でも選挙協力をして安倍総理に貸しを作りました。

 今後トランプ大統領は、「ギブアンドテイク(何かを与えたら、何かをもらう)」の原則に基づいた行動を安倍総理に期待するでしょう。安倍総理のために拉致被害者の家族との面会に参加し、貿易交渉は参院選まで待つことにしました。これらは、「何かを与える」の部分に相当します。

 参院選後、トランプ大統領は安倍総理から「何かをもらう」立場になります。

 米メディアによれば、トランプ大統領は6月から本格的に再選の運動を開始します。同大統領のことですから、参院選を待たずに支持者を集めた集会で、今回の訪日で農産物の関税を引き下げることになったと彼らに報告し、アピールする可能性は否定できません。

 結局、参院選後、安倍総理はトランプ大統領が望む農産物の関税率で要求を呑むことになるかもしれません。仮にそうなった場合、日本の農家に補助金を含めた支援策を打ち出し、何とか批判をかわそうとするでしょう。

  
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