ルールその3:中国との連携
韓国のイメージ戦略のうち、こと反日において、韓国系団体は中国系団体との連携を欠かさない。中国との連携、これが韓国のイメージ戦略の3つ目のルールだ。
サンフランシスコに設置された慰安婦像は、サンフランシスコを中心に反日宣伝活動を行う中国系団体「世界抗日戦争史実維護連合会」(抗日連合会)等が韓国系団体等と連携しながら建てたものだといわれる。本部はカリフォルニア州にある。
全米をはじめ世界で注目された同州グレンデール市の慰安婦像をめぐっても、現地の日本人らが撤去を求める訴訟を起こすと、抗日連合会が提訴不当を訴える意見書を裁判所に提出する事態となり、中国系市民が同市の慰安婦像設置を擁護する格好となっていた。現地日本人らの同提訴は、棄却されている。
また、サンフランシスコ市議会の上層部は中国との関わりが深いといわれており、例えば、エドウィン・リー元市長(2017年12月急死)は中国名「李孟賢」という在米華人で、習近平総書記とも関係があるといわれていた人物だった。また、同じく中国系のエリック・マー元市議(中国名:馬兆光)は、2015年9月に慰安婦像・碑の設置を求める決議案を市議会に提出、全会一致で採択された。
このように中国系米国人団体は、かねてより中国共産党や政府との繋がりがあるといわれている。これまで、慰安婦問題に関して中国系米国人団体は韓国系の背後にいたが、近年、ようやく表に出てきた。全米での対日集団訴訟に対する呼びかけでも強い影響力を持っており、慰安婦問題をめぐる韓国系の活動やロビーを支援しており、前述の対日非難決議が可決された際も、中心的役割を果たしたともいわれる。
なぜ中国が韓国系の慰安婦問題をめぐる活動を支援するのか。韓国系団体は、中国のように反日PDを通じて日米同盟を弱体化させるというしっかりとした国家戦略目標を持っている訳ではなく、在米のグループごとに「ゲリラ的」ともいわれる手法で反日活動を行なっているのが実態である。「『点』がみえるだけで、『線』がはっきりしない」とまでいわれる。
こうした韓国系団体の弱点を補完するような形で、中国系団体は、自国の目的にも資するよう、「共通の敵」を持つ韓国系と連携しているのだ。例えば対日非難決議採択にあたっては、当時の下院議員マイク・ホンダ氏への働きかけが抗日連合会によるものだったともいわれている。
目的は、米国社会での立場獲得と、韓米関係強化
これまで、韓国のイメージ戦略におけるルールを見てきたが、ではなぜ、韓国が対日関係において前述のようなイメージ戦略を展開するのだろうか。
韓国系米国人の総数は170万人を超えるともいわれる。うち大半が、こと政治・外交において、一枚岩となって動くともいわれている。
その韓国系米国人にとって、重要なのが自らの居住地である米国だ。米国に居住する韓国系は、米国人として現地社会に同化することを望む。さらに、韓国にとって、米国は同盟国である。韓米の同盟関係強化、関係の深化のため、努めるのである。こうした点に鑑みれば、韓国系の反日活動は、自らの米国社会での立場の改善・確立、そして、同盟国米国との政治・安全保障・経済等の関係強化が目的だといえよう。
また、韓国の持つ独自の思考パターンにも関係することも無視できない。朝鮮半島の専門家によれば、韓国は、朱子学を重んじる国家だ。そこでは、「正義」と「勧善懲悪」が追求され、「約束」や「真実」に対してさえ優先されるという。こうした朱子学や儒教の考え方から、そもそも韓国は、情緒に反する事実・真実が一切受け入れられない、という見方もある。
このように、韓国が米国で精力的に反日活動を行う理由は、韓国の思考パターンと、米国社会への同化と地位の確立、及び韓米関係の強化であるといえよう。