試合は久保と同じFC東京のFW永井謙佑が日本代表の記念すべき〝令和第1号ゴール〟となる先制点を前半19分に決め、同41分にも連続でゴールネットを揺らした。4年ぶりに日の丸を背負って代表初得点を記録し、しかも2ゴール。本来ならばもっとヒーロー扱いされていいはずが、どこかTBSの中継では久保の話題にかっさらわれてしまった感があり、何とも気の毒な進行状況になっていたのは残念ながら否定できない。
とにかく久保は日本サッカー界にとって紛れもなく〝金の卵〟だ。スペイン1部FCバルセロナの下部組織で鍛え上げられ、現在所属のFC東京では既に堂々の主力としてリーグ初優勝を目指すチームをけん引。18歳となったことで海外移籍も解禁となり、欧州の有力クラブから熱視線を送られている。6月14日に開幕する「コパ・アメリカ2019」でも招集メンバー入りしているだけに、ここで活躍を遂げれば今夏にも海外の強豪クラブへ移籍する可能性は十分にありそうだ。
まだ結果を出していない
ただ、そんな〝金の卵〟に注目するのは大いに結構だとは思うが、今回のTBSのようにメディアの度を越した密着ぶりは本人の成長を妨げてしまいそうな気がしてならない。一応念押ししておけば、久保はA代表で上々のデビューこそ果たしたものの、まだ結果を出していない。しかも、この日はホームで行われた格下のエルサルバドル戦。あえて厳しい言い方をするが、いわば〝花相撲〟のような試合だ。
次は強豪が集うコパ・アメリカという〝ガチンコ勝負〟の大舞台。日本中のファンからの期待を背負い、世界から注目も向けられる中、大きなステップを踏むための結果が求められる。だからこそ取材を行う我々メディア側も、いま一度冷静になって未完の大器・久保に接する必要性があると思う。日本の至宝をつまらぬ横やりで潰してしまってはいけない。
【修正履歴】2019年6月12日
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