2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2019年6月19日

・中国とは、国連の制裁決議でそうだったように協力も可能である。中国とは競争しているが、対立ではない。現在の国際ルールに基づいた秩序で最も恩恵を受けたのは中国である。中国はインド太平洋域内の他国と協力的関係を築かなければならない。他国の主権を浸食するようなことは止めるべきである。

・米国はインド太平洋地域に37万人の兵力を展開している。これは他の地域の4倍にあたる。2000の航空機と200の船と潜水艦が配備されている。同盟国の豪州、日本及び韓国とは相互運用可能なミサイル防衛システムを導入する。

・域内協力の素晴らしい具体例が先月インド洋で行われた共同訓練である。米国海軍とフランス、日本、豪州が共同演習を行なった。9000キロを隔て3つの海を隔てた諸国が集まれた。こういう米国と他国との例は、二国間でも、日本、韓国、フィリピン、豪州、タイ、インドネシア、シンガポール、モンゴル、台湾、パラオ共和国やミクロネシア連邦等、多々ある。

・インド太平洋の共通の目標のために、域内の安全保障ネットワークを構築することが重要である。

参考:https://www.iiss.org/events/shangri-la-dialogue/shangri-la-dialogue-2019

 シャナハン国防長官代行は、淡々と準備してきたペーパーを読み上げて演説を終えた。A4版で9頁に及ぶスピーチ全文を読むと、米国はインド太平洋地域における自由で開かれた秩序を維持するために、同盟諸国や友好諸国と共に協力しながら関与して行くことが強調された。中国の行動を示唆して釘をさす箇所もあるが、同時に、中国にも協力を呼びかけている。敵対心は露わにしていない。きわめて紳士的、外交官的態度だった。

 日本に関しては、同盟国の中でも、最初に語られ、しばしば言及された。インド太平洋地域の様々な場面で、日本は信頼のおける同盟国として、米国から認識されているのだろう。

 5月28日に、令和最初の国賓、トランプ大統領が離日する前に、安倍総理とともに横須賀を訪問し、日米両海軍基地を訪問したのも、その象徴的なものだったのだろう。

  
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