赤坂英一の野球丸

2019年6月19日

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 そこで私が思い出すのは、6年前の13年、ソフトバンクから去って行った台湾人の左腕投手、陽耀勲(ヤン・ヤオシュン、巨人・陽岱鋼の実兄)である。05年に22歳でソフトバンクに入団した陽は、最速155㎞、平均140㎞台後半の速球を武器とする本格派だったが、制球難でなかなか勝ち星がついてこず、12年に契約更改しないで台湾へ帰国。翌13年に突然「今シーズン終了後にメジャー移籍を容認してほしい。認めてくれなければ契約しない」と言い出したのだ。

 当時、私が取材した球団関係者によれば、このとき陽の代理人を務めていたのが、ほかならぬボラス氏だったのである。陽は翌14年、念願叶ってMLBのピッツバーグ・パイレーツとマイナー契約を結んだが、オープン戦で打ち込まれてしまい、2Aチームで開幕を迎え、7月には解雇。その後、台湾に帰国し、左肩を壊したために外野手に転向、現在はラミゴ・モンキーズというプロ球団で現役を続けている。

メジャー新人日本デビュー

 あのとき、ボラス氏には決していい感情を持っていなかったはずのソフトバンクが6年たったいま、日米球界を通じて史上初となる〝メジャー新人日本デビュー〟を実現させるために手を組んだ。果たしてその主役スチュワートにはどのような未来が待ち受けているのか。かつてソフトバンクの編成育成担当取締役を務めた江戸川大学教授・小林至氏は、夕刊フジに連載中のコラムで感に堪えないようにこう語っている。

 「MLBでも高卒ドラ1投手がMLBで3年以上プレーするレベルにまで到達するのは3人に1人であり、ギャンブル性の高い投資と言えるだろう。しかし、一つ言えるのは、1つのプロ野球球団と1人の若者による未知の領域への挑戦がどのように展開していくのか、プロ野球をみる楽しみがまたひとつ増えたということだ」

 スチュワートは来日後、2~3週間の調整期間を経て、早ければ夏にもファームの試合でデビューする予定。舞台は12球団随一の規模と設備を誇るソフトバンクのファームの本拠地・タマホームスタジアム筑後で、相手は同じウエスタン・リーグに所属する広島、阪神、オリックス、中日のいずれかになる。

◎参考資料

東スポWeb『ソフトB入団の昨年全米ドラ1右腕・スチュワート両親が明かした日本球界入り決断秘話』2019/06/04

Number Web『COLUMN野球のぼせもん/米ドラ1スチュワート入団の決め手は、ホークスの恵まれた三軍制度にあり。』田尻耕太郎2019/06/05

zakzak(夕刊フジWeb版)『小林至教授のスポーツ経営学』2019/06/06

  
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