【中学受験】成功を導く父親の役割

2019年6月19日

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原 章浩

中学受験専門のプロ家庭教師集団「名門指導会」

京都大出身の国語科講師。未来を切り開く言語力を子どもたちに伝えたい、が今の仕事の原点で、中学受験のストレスからお母さん達を解放したいをモットーに子どもの自立を応援する。ユーモアと論理性を交えた指導で誰でも記述が得意になる「百字ジャスト記述メソッド」の使い手で、「今年の大学入試問題が来年の中学入試問題を作る」と大学入試問題研究を継続し、中学受験のみならず東大や京大にも生徒を送り出す。マラソン、テニスが趣味で、野菜ジュースを手作りする。

 また、2018年度の開成中学の国語入試では、専業主夫の父とキャリアウーマンの母という家族構成の物語が出題されました。主人公はキャリアウーマンの母親です。専業主夫の夫が自作の絵をインスタグラムに投稿していて、それがきっかけで個展を開くことになったけれど、夫が留守の間に作る子どものお弁当の卵焼きがうまく焼けずに心を乱す女性の心理が描かれています。こうした物語を前にしたとき、「父親はサラリーマン・母親は専業主婦」で育った家庭の子はイメージすらしづらいことでしょう。まして、キャリアウーマンの母親が子どもの好物である卵焼きを作れなくて葛藤している姿なんて、幼い男の子だったら「何が言いたいのかさっぱりわからない」と思います。

 しかし、こうした大人の心の機微を聞いてくるのが、難関中学の国語入試なのです。

小学生だからといって子ども扱いしない

 では、こうした問題を解けるようになるにはどうしたらよいのでしょうか? そんなの塾が教えてくれるんじゃないの? と思う方もいるでしょう。たしかに塾では、物語文の読解の進め方は教えてくれます。国語という教科は、ある程度難しい素材文でも、設問に沿って論理的に読み進めていく技術を磨けば、多くは正解を導くことができるからです。しかしながら、そこには大前提があります。文の内容、背景が子どもに理解可能であることです。

 ところが、難関中学の国語入試の物語文は、時代背景や政治的背景が異なっていたり、家族構成が複雑だったりと、小学生の子どもの経験値、理解をはるかに超える内容が出題されます。

 私は、塾の教える技術で補えないこの「社会について教えること」こそが、お父さんの大事な役目だと思っています。実社会で働いているお父さんは、社会人としていろいろな人と接してきた豊富な経験を生かすことができるからです。

 今、世の中では、戦争、テロ、殺人、いじめ、差別、貧困などさまざまな暗いニュースが流れています。なかには、子どもには見せたくないものというのもあるでしょう。でも、私はわが子に社会の真実を伝えるのは大事なことだと思っています。「この子はまだ小学生だから言ってもわからない」と遠ざけてしまうのではなく、よいニュースも、悲しいニュースも現実社会で起きていることだということを伝え、その上で小学生の子どもにもわかるように説明をしてあげたり、「これについてどう思う?」と親子で意見を交換したりする。こうしたやりとりが、子どもの興味を広げ、世の中に関心を持つことへとつながるのです。

 難関中学の国語の入試問題で、母子家庭の話や貧困の話、ジェンダーの壁などについて書かれた物語文や説明的文章が出されるのは、社会にどれだけ関心を持っているかを測るためです。それはすなわち、「あなたの家庭では、日頃から世の中について考えたり、話し合ったりしていますか?」ということを聞いているとも言えます。

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