2024年12月9日(月)

From LA

2019年7月21日

世界中の車椅子を必要とする人々にiBotの存在を知ってもらう

 一方のDEKA社にとって、人々がフェデックスのBotを目にし、興味を持つことで世界中の車椅子を必要とする人々にiBotの存在を知ってもらうことにつなげたい、という意図がある。iBotはすでに1000万時間以上の実際のオペレーション実績があり、米国ではもちろんFDA(米食品医薬局)の承認を得たメディカルデバイスである。

 iBotの技術を流用することで、デリバリーBotは個人宅の玄関前の階段などを自力で上がることができ、坂道でもピザなどのデリバリー商品を傾けることなく配達することができる。フェデックスによると同日配達を希望する顧客の6割以上は該当小売店舗から5キロ以内に居住しており、Botはまさに理想的な短距離配達デバイスとなる。

 配送会社にとって、もっとも人件費とコストがかかるのは商品の集配部分だという。つまり企業から荷物を受け取る、その荷物を顧客の自宅へ配送する、という部分だ。中間に当たる運輸の部分よりも最初と最後に業務の煩雑さが集中しているのだ。ネット購入などによるeコマースの増大、アマゾンが始めた同日配送サービスの広がりなどは、配送業者にとって大きな負担になりつつある。

 ラストマイルソリューションとしてはドローン配送、同様の小型自動運転デリバリーロボットなど各社が様々な方法を導入しようとしている。しかしフェデックスのBotの場合、デリバリー部分が保温も兼ねているため、今後成長が見込まれるフードデリバリーにも対応でき、成功すればデリバリービジネスの新たなプレイヤーとなる、と期待がかけられている。

  
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