2024年6月15日(土)

Wedge REPORT

2019年7月28日

 各学校の進路指導の教職員に対し、セールスポイントとして説明するのが、主に次の2つだ。これらに理解を示した場合、生徒たちに鈴木組を紹介してもらえる可能性が高いようだ。

  1. 1994年に社内(足立区)に設けた「鈴木職業訓練校」。東京都知事より認定された企業内訓練校
  2. 2013年に設計したキャリアプラン「技能工昇進モデルプラン」

 訓練校では1年間(4月から3月末)で、約1000時間の実習と約600時間の座学を通じて総合架設工の知識と技術を学ぶ。入校は、高卒の新卒採用試験で内定となり、4月に入社した正社員に限っている。

 先代の社長(故人)が日ごろから「職人にも、今後は教育が必要」と説き、開校にこぎつけた。25年間で約150人が入学し、卒業後(ほぼ全員が卒業する)は正社員のとび職などとして各現場に勤務する。現在も在籍するのは、約40人。1期生は現在42歳で、スーパー職長(大林組認定)として中核を担う。卒業者が退職する場合は入社3年以内が大半で、5年以上在籍し、退職する人は少ない。

 4月から12月まで、講師(大林組や訓練校のOBなど)による講義を教室で開催する。施工技術・技能取得のために必要となるスキルのほか、労働安全は特に念入りに教える。10~11月には、「富士教育訓練センター」(運営主体は職業訓練法人全国建設産業教育訓練協会)で3週間程の合宿を行う。1月は、実技演習を繰り返す。卒業試験の意味合いを持つ東京都の技能照査に向けた演習だ。これに合格すると、技能士補の称号が与えられる。年間を通じて、玉掛(たまがけ)技能、5トン未満のクレーンの運転などの資格取格も目指す。

 1年間は「企業内訓練校の生徒」であるが、正社員の扱いは変わらない。工事現場やオフィスで仕事をすることはない。18歳の場合、毎月の基本給は18万5千円(額面)で、賞与は年2回。年収で約250∼280万円。健康保険、厚生年金、雇用保険は完備。全寮制で、寮費は1か月33,000円、1日3食付(日祭日を除く)。講義は、午前9時から午後5時まで。

 1年間に、1人の生徒(社員)に支給する人件費や寮の維持費や光熱費、訓練校の講師への報酬、教材などの学習費用を合計すると、数千万円となる。鈴木社長は「費用対効果を短い期間(数年間)で捉えると赤字になるが、生徒が卒業し、正社員の技能工として活躍してくれると、採算に合う。それを信じて運営を続けてきた」と振り返る。

 「ここまでの態勢を整えた訓練校を設置する建設会社は全国でも少ないと自負している。私が把握している限り、ほとんどない。弊社と同規模の同業他社は、依然として日雇いのケースが多い。新卒採用で、正社員。しかも、訓練校を設けて1年間、面倒をみる。当社のセールスポイントであるので、学校に丁寧に説明させていただいている。多くの教職員の方が関心を持ち、生徒に話してくださっているようだ。掲示板にも貼ってくださる高校が多い。生徒や保護者にも理解されやすい」(高野取締役)


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