2010年までの10年間で、米国から中国への輸出額は468%伸びた。
131%で伸び率2位のブラジル向けを超絶する突出ぶりである。
全米50州のうち47州が伸び率100%
別掲図は、米国からの輸出額が多い相手国上位10国をとり、同じ期間の伸び率を表したもの。唯一日本向けだけが、7%の純減になっている。
2010年、米国から中国への輸出額は919億ドルを記録した。香港向けを加えると1184億ドルとなり、輸出額で4位の日本向け605億ドルに対しほぼ2倍に当たる。
物事を変化率で見る限り、米国経済にとって最も重要な国は一に中国、二に中国、三、四がなくて五に中国だということになる。米国産業はすべからく、縮む日本から力点を中国に移すのが合理的だという結論になろう。
米国各州の数字を眺めると一層示唆深い。変化もさらに劇的に見える。
米国各州のうち、中国向け輸出が多いのはどの州か。裏を返すと、中国の影響を被りやすい州とはどこか、上から15州挙げてみると、こうなる。
カリフォルニア、ワシントン(州)、テキサス、ルイジアナ、オレゴン、ニューヨーク、イリノイ、ペンシルバニア、ジョージア、オハイオ、ノースカロライナ、マサチューセッツ、ミシガン、サウスカロライナ、アラバマだ。
金額では上位3州が100億ドル以上を記録し抜きん出ており、4位から15位までは65億ドル~19億ドルの範囲に収まる。どこか特定地方に集中していない。東海岸と西海岸、中西部、西部そして南部に深南部と、万遍なく広がる。共和党支持州と、民主党のそれを等しくカバーした図柄でもある。
全米50州のうち、00年からの10年で対中輸出伸び率が100%、つまり少なくとも倍以上を記録した州は47州に上る。うち17州では実に4桁・1000%以上の伸びを示した。1位はネバダ州で、4797%だ。
これを、4320%のバーモント、2372%のモンタナ、2180%のデラウェア、1696%のユタ各州が追う。輸出品目上位にはエレクトロニクス製品が見え、付加価値の低い一次産品ばかりではない。
変化率たるや激甚だから、これら州には一種のショックが加わった形だ。特にバーモントなど典型的ニューイングランドの州で、中国は心理的に遠かったはず。かつ同州からの世界全体に対する輸出は同期間、7%純減した。それだけ中国の衝撃度は大きい。
流れに乗れなかった州はたったの3つである。フロリダ(それでも伸び率はあと一歩で3桁の96%)、ニューメキシコ(39%の純減)、ワイオミング(57%の純減)だ。