2024年4月29日(月)

経済の常識 VS 政策の非常識

2012年2月10日

 放射性物質は風に乗ってどこへでも飛んで行き、雨によって地上に落ちる。それがどこへ落ちたかについてはSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)という放射能物質の飛散予測システムがある。少し時間がたった後では、実際の汚染度合いも計測された。

気がつかなかったのか
面倒だったのか

 放射能物質が落下した地点に腐葉土があれば腐葉土が汚染され、稲藁があれば稲藁が汚染され、砂利があれば砂利が汚染される。

 産経新聞によれば、農水省は、雨にさらされた稲わらは栄養分が抜け、カビが生えることもあるため、秋のコメの収穫時に乾燥させ、倉庫にしまっておくべきものと考えていたようだ(2011年7月16日)。

 しかし、多くの稲藁は、実際には、秋の収穫後から水田に野ざらしになっていた。農水省は、現実の農業を知らなかったのだ。

 いずれも高価なものではないから野ざらしにされていたのも当然だ。しかし、高価なものではないにしても、腐葉土をビニール袋につめてホームセンターに並べればそれなりの値段になる。稲藁を牛が食べれば高価な牛肉になる。砂利がセメントや砂と混ぜられればコンクリになって高価なマンションとなる。

 こうなったら、面倒なことになる。牛肉を買い取るのも、ビニール袋入りの腐葉土を買い取るのも、元の値段の何倍もかかる。腐葉土が公園などに使われていればさらに面倒なことになる。マンションを壊して建て替えるのはとんでもない費用がかかる。

 放射能腐葉土が問題になったのは2011年6月のことである。放射能稲藁が問題になったのは2011年7月のことである。放射能砂利が問題になったのは2012年1月のことである。なぜ砂利も同じだと気がつかなかったのだろうか。

 全く気がつかなかったのかもしれない。しかし、そうだとすれば余りにも想像力に欠けている。もちろん、私も気がつかなかったから、人を責める気はない。原発推進派だけでなく、マスコミも、反原発派も、私の知る限りでだが、気付かなったようだ(私の調べ方が不十分であったらお詫びする)。


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