World Energy Watch

2019年8月20日

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消滅した米中エネルギー・環境協力

 米中の二酸化炭素排出量だけで世界の排出量の43%を占めており、この両国の取り組みが世界の気候変動対策には極めて重要になることを理解していたオバマ大統領は、米中間のエネルギー、環境問題に関する協力関係を深化させた。

 具体的には、住宅のエネルギー効率改善、電気自動車、二酸化炭素の捕捉・貯留技術、原子力発電などの分野で協力関係を構築していた。気候変動対策に関心がないトランプ政権は、これらの協力関係を継続しておらず、米国政府関係機関の米中協力関係に関するホームページは、既に削除されているか、あるいは更新が行われていない状況にある。

 昨年10月、エネルギー省は中国への原子力設備・技術輸出審査を安全保障上の問題から厳格化し、国営企業への輸出については拒否することを示唆した。原子力発電関係の技術協力も打ち切られた。気候変動に関する協力関係は失われたが、米中間の摩擦によりさらに温暖化対策の状況は悪化している。

 都市部を中心とした大気汚染に悩まされている中国は、石炭消費を削減し天然ガスへの切り替えを進めている。天然ガスの輸入先として急浮上したのは、シェール革命により天然ガス生産量が世界一となり輸出国になった米国だった。日本、韓国と並び米国産LNGの輸入を進めた。しかし、貿易摩擦により、中国は米国からのLNG輸入量を削減している(図-2)。LNG輸入量の減少が中国の石炭消費を復活させることになるかもしれない。

 米国は中国から輸入される太陽光モジュールには既に課税しているが、風力関係設備などへの課税が今後開始される見込みだ。米国内の再生可能エネルギー設備価格の上昇が再エネ設備導入を遅らせる可能性がある。トランプ政権は世界の温暖化対策も遅らせているのかもしれない。

  
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