寄付金は、教室やホールなどの施設や設備の充実だけでなく、大学財政全体への貢献度も高い。ハーバードは寄付金の運用に非常に力を入れており、専門の運用会社「ハーバード・マネジメント・カンパニー」が巨額の資金を効率的に運用している。2011年6月時点の運用成績は非常に好調で、リターンは21.4%と高利回りを達成した。低金利で運用に苦労している日本企業からしてみればなんともうらやましい水準だ。
ただ、ハーバードの資金運用が毎年好調だったわけではない。リーマンショック後の世界的な金融市場の混乱の広がりによって、ハーバードの資産運用も例外なく大きな影響を受けた。
高利回り運用が世界一を支える
2009年事業年度の運用成績は、前年度比マイナス27.3%と1980年以降で最悪の結果になった。この結果、ハーバードの大学財政も大きく影響し、大学関係者に聞くと、施設建設の計画変更や図書館で購入する本を減らすなど、様々な部分で支出が減らされたという。
10年、11年とその年の運用利回りは早くもリーマンショックからの立ち直りをみせているが、かつて43%以上のリターンを達成した年には及ばない。
ハーバード・マネジメント・カンパニーも「まだ金融危機以前のレベルには回復していない。今後もポートフォリオを強化してハーバードのために着実な成績をあげたい」と声明を発表し、今後のさらなる運用強化を目指している。こうした財政面での支えがあるからこそ、優れた研究者の獲得や良質の授業、高度な研究が保たれ、ハーバードの地位を不動のものとしているのだろう。
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