政治局常務委入りはもはや困難に
想像力の豊かなネットでこんな筋書きもできている。
「王立軍が何より恐れたのが、薄熙来の政治的暗殺だった。副市長として米総領事館に面会を求めた王は6日夜、米総領事館に到着し、庇護を求めたが、米側は拒否した。7日午前になって米側は北京(中央)に通報し、中国側は(防諜工作を担当する)国家安全省幹部を派遣することを決定した」
「7日に北京を通じて王の米総領事館駆け込みを知った重慶市は警察車両を派遣し、王を拘束しようとしたが、北京は拒否し、大量出動させた四川省の警察に命じ、重慶の車両を追い出した。王は国家安全省に引き渡され、8日朝に北京に向かった」
「重慶に帰るより北京に調べられることを望んだ王は、薄熙来の家族の腐敗を米側に暴露した。中央は10日、黄市長を北京に呼び、事情を聞いた」
中国誌『新世紀』は、王が9日、腐敗を調査する共産党中央規律検査委員会に移送され、取り調べを受けていると伝えた。「もはや薄熙来氏が政治局常務委入りするのは極めて困難な情勢だ」。北京の複数の中国筋は語った。
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■変更履歴
2ページ目最終段落内「胡錦濤、温家宝首相、李克強副首相の3人であった」とあったのは、正しくは「胡錦濤、温家宝首相の2人であった」でした。お詫びして訂正します。該当箇所は修正済みです。[2012/2/22 12:18]
◆本連載について
めまぐるしい変貌を遂げる中国。日々さまざまなニュースが飛び込んできますが、そのニュースをどう捉え、どう見ておくべきかを、新進気鋭のジャーナリスト や研究者がリアルタイムで提示します。政治・経済・軍事・社会問題・文化などあらゆる視点から、リレー形式で展開する中国時評です。
◆執筆者
富坂聰氏、石平氏、有本香氏(以上3名はジャーナリスト)
城山英巳氏(時事通信中国総局記者)、平野聡氏(東京大学准教授)
森保裕氏(共同通信論説委員兼編集委員)、岡本隆司氏(京都府立大学准教授)
三宅康之氏(関西学院大学教授)、阿古智子氏(早稲田大学准教授)
◆更新 : 毎週月曜、水曜
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