旧ソ連諸国とは関係改善の兆しも
その一方、旧ソ連空間の安定化と武力ではなくソフトパワーで影響力を強めていく姿勢が見て取れる。
たとえば、旧ソ連諸国、特にバルト三国などにおいて、ロシア語やロシア文化に関する政策を強化していく姿勢を見せている。これはまさしく、ソフトパワーによる外交へのシフトと見て取れるだろう。
また、現在最も関係が悪化しているグルジアとも関係改善の動きが見られる。3月2日に、ロシア外務省のルカシェビッチ情報局長はグルジアに外交関係の回復を提案していたのだ。グルジアのサアカシュヴィリ大統領が先月末に、ロシア人観光客らに対する査証(ビザ)を撤廃すると発表したことを受けた措置であるとはいえ、ここ数年のロシアのグルジアに対する姿勢からは想像もつかない展開である。グルジアはソチにも近く、またグルジアの問題は、欧米との関係にも悪影響をもたらす。「外交の安定」という大前提を維持するためには、グルジアとの関係改善が必須と考えたと言って良いだろう。
このように、本大統領選挙は内政・外交に様々な影響をもたらしてくると思われる。日本は、先入観を捨てて、ロシアの動きを注視し、柔軟な対応をしていくべきだろう。
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