2024年11月22日(金)

前向きに読み解く経済の裏側

2019年9月17日

日経平均がTOPIXより使われるのも、同じ理由

 昨日の日本の株価はどうだった? と聞かれたら、日経平均が上がったか下がったかを答えるのが普通でしょう。しかし、それは日経平均株価が優れた指標だからではありません。

 日経平均株価というのは、大雑把ですが、225社の株価を平均して求めていますから、株価の高い会社の株価が1%動くと、株価の低い会社の株価が1%動くよりも、大きく動くのです。

 たとえばトヨタ自動車は、発行済株式数が多いので、会社の規模の割に株価は高くありません。一方で、ファーストリテイリング(ユニクロ)は、発行済株式数が少ないので、会社の規模の割に株価が高くなっています。

 そこで、トヨタ自動車の株が1%上がっても、ファーストリテイリングの株価が1%下がると、日経平均株価は下がってしまうのです。前者の方が会社の規模は遥かに大きいのに。

 一方で、東証株価指数(TOPIX)は、時価総額の動きを指数化したものですから、トヨタ自動車の株価が1%上がり、ファーストリテイリングの株価が1%下がれば、下がります。この方が日本の株価の動きを見る上では優れているわけです。

 そこで、ある新入社員が前日のTOPIXの動きを頭に入れて出社したとします。しかしそれでは、上司や先輩の話題について行けないでしょう。上司や先輩は日経平均株価の話ばかりしているからです。

 そうなると彼(女)は、翌日から日経平均株価の動きを頭に入れて出社するようになるはずです。そして1年後、新入社員に向かって「TOPIXではなく、日経平均株価の動きを頭に入れて出社するように」と指導するようになるはずです。

 こうして、ひとたびサラリーマンたちの間で使われるようになった日経平均株価は、今後も使われ続けていくでしょう。未来永劫、かどうかはわかりませんが。

  
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