海野素央の Love Trumps Hate

2019年9月19日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

「シャーピー」を使ったのは誰か?

 ホワイトハウス記者団がトランプ大統領に「あなたが見せた(ハリケーン「ドリアン」の)進路図はシャーピーで進路を書き加えたようにみえますが」と質問をすると、同大統領は「私は知らない。知らない。知らない」と回答しました。

 「シャーピー」とは、油性のマジックペンを指しています。米国では1964年から販売されており、一家に2本あるといわれるほどの定番商品です。トランプ大統は大統領令を発動する際、シャーピーを用いて署名をします。

 余談ですが、ジェリー・コノリー下院議員(民主党・南部バージニア州第11選挙区)のワシントン事務所を訪問したとき、同議員のスタッフがトランプ大統領が実際署名に使用したシャーピーと、バラク・オバマ前大統領が使ったクロスのボールペンを筆者に見せてくれました。シャーピーを用いれば、太くて鮮明な署名をすることができます。

 ホワイトハウス記者団に必ず自分の署名を見せる演出を行うトランプ大統領には、シャーピーは最高のペンなのでしょう。ただ、コノリー議員のスタッフは「クロスのボールペンで署名したほうが、プロフェッショナルに見える」と語っていました。

 話を戻しましょう。米ワシントン・ポスト紙は、シャーピーでドリアンの進路にアラバマ州を付け加えたのは、トランプ大統領本人であったと報道しています。

トランプを守る力

 米海洋大気庁はトランプ大統領の意見に矛盾する発言を行う気象局の職員に対して警告を発したと、米ワシントン・ポスト紙は報道しました。この警告によって、気象学者が「米国民に真実を語ることができない」と強い懸念を示しているとも報じています。

 さて米国では、承知のうえで誤った天気予報を発表した場合、罰金ないし90日以下の収監あるいは双方が課せられます(合衆国法典第18編2074条)。つまり、犯罪になります。

 加えて、ドリアンのアラバマ州への進路変更は、トランプ大統領が「不正直である」という印象を与えました。そこで、ホワイトハウスが米海洋気象庁を動かして、同庁の監督下にある気象局に圧力をかけたのかもしれません。いづれにしても、米海洋大気庁はトランプ大統領を守る動きに出ました。

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