品質のブランド化を
何年も加湿器、石油ファンヒーターでNo.1シェアのダイニチ工業ですが、まだまだ知名度がないのが現状です。社長はここを死守する考えですが、それには、どうすればイイでしょうか?
私は「ブランド化」だと思います。「ダイニチ工業品質」のブランド化です。現在は、店頭で何となくモノがよさそうと言うのを、「大間のマグロ」ではありませんが、「ダイニチ工業と言えば高品質」のようにブランド化してしまうのです。
このためには、商品にももう少し工夫が必要です。さり気なくではなく、品質を目立たせるデザインを取り入れるのです。例えば、継ぎ目などは、万が一を考えて、目立たないところへ回すのが通常ですが、ダイニチ工業の精度なら、真正面に配置しても分からないでしょう。そうやって高品質を徹底的にアピールすることもできます。
いろいろやって、品質を認識してもらったら、別のカテゴリーへ手を伸ばしても、問題ありません。ダイニチ工業なら、少なくとも「品質は確実」と認めてもらうことができますし、価格が他社より少々高くても買ってくれます。
この8月に発表された、新型加湿器LXシリーズはかなり良いです。広い部屋用の加湿器なので、全ての人にとは言えませんが、お勧めできます。お勧めポイントは、水が入るトレイにトレイカバーが付いていることです。
加湿器は水タンクからトレイに水を入れ、そこで水蒸気化させます。気化に使うパーツを固定する必要があります。このためトレイは複雑な形状となり、洗いにくいのです。しかも、一回一回完全に乾かしてから使うのがよいのですが、冬は連続して使いたいモノ。そんな時、トレイカバーを交換すれば、イイわけです。
加湿器の欠点は、清掃しないとカビが生えてしまうことです。それをなるべく対応してと言うわけです。ちなみにトレイカバーの交換頻度は、1シーズン1回。替えカバーは、3枚で1500円と言いますので、かなりリーズナブルです。
品質というベースがしっかりしていると、この様な小技設計がとても魅力的に見えます。高品質は一日でならない上に、良貨と同じで失われやすいものです。また、大手家電メーカーは、スタンダードモデルのほとんどは海外生産。グローバル品質です。少量のトップモデルのみ、日本で生産。高品質ですが、あまりにも少量生産なため、かなりの割高です。分からないでもないですが、昔から使ってメーカーを、応援してきたユーザーから見ると裏切られた想いがあるかも知れません。こうなると流動シェアが増える一方です。
今なお、新潟の地で、高品質を守り続けるダイニチ工業は、よき時代の日本メーカーとしての誠意を見る思いがします。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。