2024年11月22日(金)

インド経済を読む

2019年12月6日

インド便の増加とその利便性向上の理由

 このような日印間の時間的距離の接近の理由は当然両国間の「往来の増加」である。代表的なのが「観光による人の往来」だ。

 従来は日印間の観光と言えば、ステレオタイプな日本人のインド観光だけが多かったのであるが、日本政府の積極的なインバウンド政策も実り、5年前には7万人を少し超えるだけだった訪日インド観光客も最新の2018年のデータでも軽く15万人を超えておりほぼ倍の数になっているのだ。

 実際私も毎月1回日印を往復しているだが、5年ほど前なら座席はガラガラなので隣の席も自由に使えていたのだがここ2年ほどは毎回満席。そしてその内訳もインド人の家族連れが非常に増えているように感じる。従来インド人の観光旅行と言えば中東やタイがメインだったのだが、豊かな中間層が増え「より変わった国へ旅行したい」というインド人の需要は増え続けており、それが訪日インド人観光客の増加につながっているようだ。

 またビジネスの活性化も往来数の増加につながっている。

 こちらもインドに進出している日本企業の増加に伴い、日本からインドに駐在したり出張したりする動きが活性化している。

 そしてこちらも観光と同様、従来の日本→インドという一方向の流れだけでなく、インド→日本というビジネスマンの動きも活性化している。今日本には大量のインド人がその就業を目的として来日しており、特に多いのがエンジニアだ。

 少子高齢化による新卒の減少のため将来的に不足することが予想される日本国内のエンジニアを補強するため、各企業はエンジニア大国でかつ関係が良好なインドから大量のエンジニアを獲得しようとしている。この動きは外国人労働者を増やそうする日本政府の意向とも合致しているため年々加速している。また 実際これをビジネスチャンスとしてとらえた日本企業が、インド国内に日本への派遣を前提としたエージェント会社を設立する動きも活発化しており、しばらくこの潮流は続きそうである。

 理系の若者が新卒で日本企業に就職したら、同僚の多くがインド人…なんていう世界がもうすぐそこに来ているのだ。


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