エコノミストは単月の統計に一喜一憂しない
筆者は、景気の予想屋です。若い頃から「経済指標は振れるから、単月の指標に一喜一憂せず、3カ月分くらいの指標をじっくり眺めて大局的な判断をするように」と教育されて来ました。
そこで、台風が来なくても11月分と12月分の統計を見るまでは景気判断を控えようと考えていたわけです。
しかし、株価予想などをするために経済指標について語る「マーケット・エコノミスト」たちは、筆者のようにゆったり構えていては株価の動きに取り残されてしまいますから、一喜一憂するのが仕事です。
どちらが良い、ということではなく、読者が景気を知りたいならエコノミストの、株で儲けたいならマーケット・エコノミストの話を聞くべきで、目的別に使い分ければ良いわけです。
エコノミストとマーケット・エコノミストは、金融政策の話に熱心なのが後者ですから、見分けるのは比較的容易です。しかし、マスコミ報道がエコノミスト的なものかマーケット・エコノミスト的なものなのかは、判断が容易ではありません。
今次局面で「消費増税の影響が深刻かも」といったトーンの報道が多いのは、その方がわかりやすいから、という事もありますが、株式市場参加者に向けた情報提供、という意味もありそうです。
景気を知りたい、という読者はマスコミ報道を鵜呑みにするのではなく、大きな流れを掴むべく、注意深く判断したいですね。このあたりの事については、拙稿『景気について語る人には4種類あり』も併せて御参照いただければ幸いです。
マスコミは悲観的なことを書くのが好き
マスコミは、悲観的なことを書くのが好きです。「心配ありません」と書くより「心配です」と書く方が売れるからです。したがって、マスコミ情報に接した時には、「これは現実の姿より悲観的なのだろう」と考える必要があります。
マスコミ情報に接するのは、サングラスを掛けて世の中を見ているような物ですから、「サングラスを外したら、実際の世の中はどれくらい明るいのだろう」と考えながら、自分なりに情報を咀嚼することが必要なのですね。
そう考えれば、「実際の消費はマスコミが心配するほど悪く無いのだろう」という気がして来ますね。
この辺りのことについては、拙稿『マスコミの“悲観的”な情報が信用できないワケ』も併せて御参照いただければ幸いです。
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